【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ2)

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99話ページ2

「サッカーは、俺に楽しさを教えてくれた、友達をたくさん連れてきてくれた…。なのに、今は友達が去っていく…!!

サッカーと、どう向き合っていけばいいんだ…!!

……俺は、どうしたら…」

大粒の雨が降り注ぎ雷鳴が轟く。ずっと屋上で静かに懺悔する円堂の様子を心配そうに見つめる雷門イレブン。グラウンドが泥濘(ぬかる)んでしまったので今日はもうできないと練習はお開きになったのだ。折りたたみ傘を持っていこうとする春奈の肩を掴んで止め、鬼道は横に首を振った。

『鬼道君、ちょっと訊いてもいいかな』

「なんだ?ああ、立っているのもなんだ、座ってくれ」

『あ、ありがとう』

夜。陽花戸校長の厚意で開けてもらった教室でマネージャーたちの作ったご飯を食べるも、やはり全員どこか活気がない。各自よそってもらったご飯を受け取り、ばらばらの席に座り食事をしていた。そんな中水城が扉付近の席で食べていた鬼道に話しかける。鬼道は机の上のスペースを少し空けて座るよう促した。

「それで、どうした?」

『…前の、フットボールフロンティアで優勝したときの雷門イレブンって、どんな人たちだったの?』

空けてくれたスペースにプレートを置き、鬼道の前の席の椅子を拝借して鬼道と対面するように座る。水城が尋ねたのは前の雷門について。鬼道は少し考えてから口を開いた。

「…そうだな、良い奴らだったよ。帝国学園からやってきた俺を受け入れて、頼ってくれた。円堂をはじめどんな相手にも立ち向かい、決して諦めない心を持った奴らばかりだった」

鬼道の頭の中ではフットボールフロンティア2回戦、雷門対千羽山の試合が流れていた。宍戸と交代で青いマントを翻(ひるがえ)しフィールドに入った鬼道。イナビカリ修練場での特訓で噛み合っていなかったプレーを修正したことで受け入れてもらい、無限の壁もイナズマブレイクで破り勝利したあの試合。

「ところで、何故そんなことを?」

『…キャプテン、友達が去っていくって言ってたから。ジェミニストームとの試合で怪我をして、離脱した人たちも含まれてるのかなって、思って』

「ああ…」

『…それに、私が着ているユニフォームの背番号も元は雷門イレブンの誰かが背負っていたものだから。前の人のことを知って、その人の分も背負わないと…って今日のキャプテンを見て思ったの』

「…そうか、そうだな」

納得して、鬼道は話し始める。結局一晩、円堂が屋上から下りてくることはなかった。