【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス II (ページ50)

今日:28 hit、昨日:36 hit、合計:398,103 hit

97話ページ50

「確かに、俺たちはエターナルブリザードに頼りすぎていた。吹雪にさえ繋げば点を入れてくれると。吹雪にとって、その思いがかなりの重圧になっていたに違いない」

「吹雪…」

「戦い方を考え直すべきかもしれない。吹雪のために、そして俺たちがさらに強くなって、エイリア学園に勝つために!」

「「「「!!!」」」」

「エイリア学園を、倒すために…!」

「鬼道…!ああ、そうだな!吹雪のために…そして、エイリア学園に勝つために!!」

鬼道の意見に次々と賛同していく雷門イレブン。風丸はそれをどこまでも暗い目で見つめると、誰にも気付かれないよう静かに病室を出ていった。

『吹雪君、ごめんね。気付いていたのに、何も力になれなかった…』

水城は病室に残り一人悔いていた。瞳子の話を聞いて辻褄が合ったのだ。自身が試合中とそれ以外では異なる呼び方をされていたのも、目の色が違っていたのも、自身のオフェンスの練習にディフェンスとして練習に付き合ってほしいと言ったときに嬉しそうにしていたのも、全部、士郎とアツヤの人格に分かれていたからだった。

『おかしいって思ったときに、無理にでも訊いておけば良かった』

吹雪は強く、完璧になることに固執していた。ナニワランドでの練習場でそれは露見し、ここ最近それがさらに強くなっていた。どうしてそこまでこだわるのだろうと疑問に思っていたが、そういった理由があったのだ。

『力になれなくてごめんなさい…』

眠っている吹雪の手を握り何度も謝る。他の雷門イレブンが出ていってからかなりの時間が経ち、外も暗くなってきた。水城が陽花戸中に戻ろうと吹雪の手を離そうとした、その瞬間、引き止めるように弱く握られる。

『!吹雪君…』

「…そんなに、謝らないで」

うっすらと目を開き水城を見て言う吹雪。いつから聞いていたのだろう、そう考える余裕も今の水城にはなかった。

『でも、』

「いいんだ、多分、一青ちゃんに訊かれても答えなかった。…だから、自分を責めないで」

『…ごめん…。……ありがとう、』

士郎君。眉を八の字にしながらも笑ってそう言った水城に、吹雪は嬉しそうに笑い、また目を閉じた。眠ったのだろう。今度こそ、水城は吹雪の手を離し病院を後にした。

次の日、風丸が離脱したという知らせを受けた。