92話 ページ45
「吹雪、お前にはフォワードを頼む。リカとツートップだ。いいですよね?監督」
「ええ、任せるわ」
今回水城はミッドフィルダーである。リカと吹雪のコンビの様子を見るためだった。久しぶりのミッドフィルダーのポジションに意気込む水城。
「よっしゃあ決めたるでえ〜!」
「頼むぞ吹雪!今日もエターナルブリザード、決めてくれよな!」
「!…うん」
「いくぞ皆あ!!」
「「「「おう!!」」」」
試合が始まった。雷門からのキックオフ。吹雪から受け取ったリカが上がるも、あっという間にウィーズにボールを奪われてしまった。何が起こったのか分からずリカは開いた口が塞がらない。
「一之瀬!」
慌てて鬼道が指示を出すが一之瀬も抜かれ、急いで取り返そうと戻る風丸や塔子をグラン、クィール、コーマが颯爽と追い抜かしていく。ジェミニストームとは比べものにならないスピードで、風を切る音が聞こえた。アーク、コーマ、ウルビダと目にも留まらぬ速さでボールは繋がりそしてグランへ。
「いくよ、円堂君!」
「こい、ゴールは割らせない!」
グランのノーマルシュート。それに対して繰り出したマジン･ザ･ハンドは呆気なく破られ、ゴールしてしまった。「入っちゃった…」と本当にびっくりした様子でグランが言う。ここまでが、開始1分の出来事だった。
『行かせない…!』
「スローだね」
『!!』
雷門からの再開。しかしまたすぐにボールは奪われ、水城がコーマの前に立ち塞がるも気付いたときには突破されていた。動きがまるで見えない。グランへボールが渡りシュートを打ち込まれ、マジン･ザ･ハンドを繰り出すもやはり破られてしまった。
「これは一方的な試合だ!!ジェネシスまたまた追加点!!すでにスコアは10-0───っ!!」
「なんとかしないと!このままじゃ円堂が…!」
点差はすでに10点。特訓しているとはいえ我慢するにも限界がある。円堂が壊れてしまうと危惧してボールを奪おうとする風丸だがコーマとクィールにより股抜きされ突破されてしまった。
「そんなことあるはずない…俺たちが追いつけないなんて…!!」
追いつけない。吹雪のスピードに、エイリア学園の強大な力に、日に日に自信をなくしていた風丸。しかし北海道でのスノボに、大阪での特訓。速く、強くなっていたはずなのだ。互角に戦えていたはずなのだ。
なのに、
だとしたら、
このザマはなんだ?
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作者名：不二市
| 作成日時：2018年3月25日 23時
