42話 ページ42
「もういっちょいくぜ!!」
「くらえ!!」
雷門の士気が上がってくる。しかし染岡がボールを持って再び上がっていこうとしたとき、不動が足首を狙ってスライディングを仕掛けてきたのだ。あまりにも危険なそのプレーにイエローカードが出された。
『秋ちゃん!!救急箱!救急箱ー!!』
「っええ!!」
染岡が足を抱えて倒れる。それを見て不動は「悪い悪い。まさかこんなのも避けられないとはねえ」と悪びれた様子もなく言った。「てめえ今のわざとだろ!!」と怒りに身を任せて不動に殴りかかろうとする吹雪を染岡が止める。
「殴ったら、お前が退場になるっ…」
「くっ…」
痛みに耐える染岡、歯を食いしばって怒りを抑えようとする吹雪。その様子に不動はせせら笑うと自陣に戻っていった。
「これ以上プレーはできないわ…」
「……栗松と交代だ!」
「分かったでヤンス!」
「交代はなしだ…!」
染岡の足を診た秋がそう判断を下す。水城と代わってベンチに入っていた栗松と交代しようと円堂は言うが、染岡はそれを拒否する。
「役に立たないかもしれねえが、ピッチに置いてくれ!影山なんかに、負けたくねえんだ…!」
額に冷や汗を滲ませながらも円堂の両肩を掴み訴えかける染岡。顔は厳ついが人情に厚い良い奴なのだ。このまま下がれないのだろう。そんな染岡に逡巡する円堂だが「いいんじゃねえの」と吹雪が言う。
「要は、俺がこいつの分までプレーすればいいだけだろ。…あんたの作戦に乗ってやったんだ!これくらいはいいよなあ監督?」
吹雪のその言葉に「構わないわ」と瞳子は返す。しかし佐久間にボールを持たせない、源田にシュートを取らせない、それに加え染岡の足が悪化しないよう負担を減らし動かなければいけなくなるのだ。チームへの負担が前半以上にかかる。
「試合は
「おらあああっ!!」
「いいいっ!?」
またもや不動の危険なスライディング。狙われた木暮は慌てて回避するがボールを奪われてしまう。佐久間にボールを送ろうとするのを一之瀬と土門が食い止めた。
「佐久間には、ボールを出させない!」
「へっ!イイコチャンは引っ込んでなあっ!!」
「ぐああっ!」
「一之瀬え!!…っあ、」
一之瀬の腹にボールをぶつけた不動。そしてバウンドしたボールは
「皇帝ペンギン…」
「やめろおおおおおっ!!」
「1号!!!」
佐久間の足元へ。
「うあああああああっっ!!!!」
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作者名：不二市
| 作成日時：2017年9月20日 9時
