40話 ページ40
「それじゃあ佐久間君たちが…」
「これは監督命令よ!私の目的はエイリア学園を倒すこと!この試合にも負けるわけにはいかない!」
吹雪をフォワードに上げ、勝つための試合をしろと指示を出す瞳子。心配する秋が佐久間と源田の身を案じて言うも瞳子は突っ
「試合は続けよう」
「「「え?」」」
「確かに中止すれば佐久間たちの体を守ることはできる。だが、この試合は佐久間たちの目を覚まさせるための試合。今のあいつらには、サッカーを通してでなければ分かってもらえないんだ…!勝つことに、禁断の技など必要ないということを…」
『…!そうか、今試合を中止して体が壊れるのを防いでも、心境は変わらないから意味がないんだ…!』
「ああ…もしここで試合を止めれば、佐久間たちは完全に影山の影響下に置かれてしまう…!そしていずれあの技を使って、二度と試合できない体に…。やはり、この試合で救いだすしかない!!」
言葉の少ない瞳子。しかしその意図を汲み取り、鬼道が試合を中止してはいけない理由を話していくと他も理解していく。そうだ、体は救えても心は救えない。円堂が「いいんだな?」と鬼道に確認を取る。
「構わない…」
「…分かった。でも、絶対佐久間たちにあの技を出させないようにしよう!何か方法があるはずだ!」
そう言う円堂に返事をしながらも鬼道は考える。どうしても、彼らがあの技を使うビジョンしか見えないのだ。どうすれば、どうすればあの技を使わせずに勝てる?
「俺に任せな!」
「吹雪!」
下唇を噛んだそのとき、吹雪が口を開いた。いつの間にかシュートを打つときのような好戦的な表情になっている。吹雪曰く、源田が技を出す暇もないくらいすげえシュートをぶちかますらしい。染岡は「俺も協力するぜ!」とぐっと親指を立てた。
「吹雪、染岡…」
「大丈夫さ鬼道。佐久間にはボールを渡さない。サッカーができない辛さは、俺が一番分かってる」
一之瀬が鬼道の右肩に手を置きながら言う。彼も幼少期事故に遭って一度サッカーができなくなっている。それどころか秋と土門には亡くなったと思われていたのだが、長期間のリハビリを経て今の状態にまで復活した。その期間の歯痒さは尋常ではなかっただろう。
「サッカーが好きな奴に敵も味方もない。やろうぜ!2人を守って、そして試合に勝つんだ!!」
「「「「おおおっ!!」」」」
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作者名：不二市
| 作成日時：2017年9月20日 9時
