【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス (ページ28)

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28話ページ28

「いろいろご迷惑をおかけしました。我々のために戦ってくれたこと、感謝しています」

「こちらこそ、いろいろありがとう!」

次の日、もう漫遊寺中に滞在する理由もないのでここを発つ。雷門イレブンと見送りに来てくれた漫遊寺サッカー部が対峙する中、円堂と垣田が握手を交わした。瞳子曰くひとまず雷門に戻りイプシロンとの再戦のために調整に入るらしい。

「あのー…木暮君は…」

「そういえば…姿が見えませんね」

いや、正しくは漫遊寺サッカー部－木暮だ。小柄だが長く関わっていればいるかいないかだなんてすぐに分かる。春奈がおずおずと垣田たちに尋ねるが彼らも知らないようだった。

「木暮に言っといてください、サッカー頑張れって!」

眉尻を下げて笑って言う円堂の後ろには浮かない顔の春奈。雷門の誰よりも関わりが深かったのだ、昨日のあれではなく、きちんと別れの挨拶をしたかったのであろう。

「出発するわよ!」

しかしその願いは叶わず、イナズマキャラバンは漫遊寺中を後にした。水城がキャラバンに乗り込む前に漫遊寺サッカー部の彼らに手を振ったところ、数人が胸を押さえて膝から崩れ落ちたのは割愛しよう。

「春奈残念だったなー」

『一番気にかけてたもんね』

「あれは特訓したら強くなるだろうな」

漫遊寺中が見えなくなっても余韻が残る。全員の話題はもっぱらイプシロンとの試合に助っ人として6分間だけ雷門のユニフォームを着てフィールドに立っていた木暮。そのユニフォームは返却されていないのだが、夏未曰く記念のプレゼントにしておくらしい。

「あ、あのー…お話中のところすみませんが…」

「ああ?…まじかよ!!」

「「「「えええ!!?」」」」

「お前…!」

「木暮君…!」

『早い再会だなあ』

「ウッシッシッシッ!」

一番後ろの座席の壁山がおずおずと口を開く。何やら困っている様子に、前の方の水城たちも後ろを振り返った。初めに声を上げたのは染岡。参加する気で来たのだろう、記念になるはずだった雷門ユニフォームを着た木暮が、体操座りでそこにいたのだ。