【文スト】貴方に出会えて、知ったこと。【宮沢賢治】

怪我の理由 ページ34

太宰side

「与謝野女医！！怪我人が！！」

勢いよく開かれた扉から、賢治君が光代ちゃんを抱えて入ってきた。

「！こりゃ、急がないとだね。賢治！此方にはこびな！！」

与謝野女医も、血相を変えて光代ちゃんを医務室に連れていった。

「太宰さん、あの子………」

「ん？ああ、敦君は知らなかったね。ポートマフィアの幹部補佐だよ。それも中也の。」

「ぽ、ポートマフィア！？あんな小さな子が！？」

「鏡花ちゃんと同じく、ポートマフィアに拾われたんだ。」

私がそう言うと、敦君は焦ったように

「じゃ、じゃああの子も鏡花ちゃんと同じように……！！」

「それは違う。光代ちゃんは彼女の意志であそこにいるんだ。」

そう言うと、敦君は驚いた。

「なんでですか？」

「光代ちゃんは、マフィアから抜けたら生きていけないんだ。」

事実、光代ちゃんみたいな強者はポートマフィアを抜けても、帰る所はない。

強い力を持つものは時に世界から疎外される。


「でも、幹部補佐って………」

「芥川君よりも階級上だよ。」

「あの子が！？」

「敦君は光代ちゃんを知らないから、驚けるんだろうね………」

実際、私でも光代ちゃんと戦うのはごめんだ。

光代ちゃんは異能力を全くと言っていいほど使わない。

すべての敵を銃と体術で倒す。

「でも、なんで光代ちゃんが怪我を？」

「え、おかしなこと何ですか？」

「ああ、かなり可笑しい。光代ちゃんの傷は見たところ正面から刺されたものだ。光代ちゃんは怪我なんか普通しない。なのにこの短期間で２回も…………」

どう考えても可笑しい。

可能性としては考えられるのは………

一つ、誰かを庇った。

いや、ないな。

光代ちゃんは一人で任務にあたる。

誰かと行くことはない。

首領も彼女の戦闘スタイルを理解している。

二つ、敵に異能力者がいた。

これも違う。

光代ちゃんは異能力者だろうが、簡単に倒せる。

敵に傷を移す異能力者がいた？

いや、光代ちゃんは刃物は使わない。

なら、三つ、

………彼女が自分で怪我をするような行動をしたか…………

なら合点がいく。

でも、どうして？

あんなに刺されて……おそらく十回は刺されてる。

光代ちゃんは、もしかしたら…………




＿＿＿＿＿死ぬつもりだった？＿＿＿＿＿＿＿


でも、なぜ？

わからないなら…………



本人に聞こう。

また・・・まだ・・・生きている→←あの日のように何度でも

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