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千代side
『私の両親は、離婚していました。お金は全部悪い父に持っていかれ、親戚も手を差し伸べてはくれませんでした。
…母の仕事だけでは当然私を養うことはできません。
そのとき私はまだ中学生で、バイトなんてできませんでした。
でも、とにかく母を楽にさせてあげようとお手伝いを一生懸命しました。
しかし…………結局は、私を育てるお金も時間もなくなりました。
…………あるのは、1人分が余裕で暮らせるお金だけ。
そこで母は考えたのでしょう。
【娘を売れば1人で暮らせるし、さらに売った分のお金も入ってくる】と。
そして私は売られました。
最後まで、母は私と目を合わせてくれませんでした。
やはり、一人娘を売るのは………優しかった母にとっては少し後ろめたかったのだと私は思っております。
私が思ったことはただ一つでございます。
【私は母の役に立つことができなかった。最後まで信用されなかったのは、物事をきちんとできない私のせいだったのだ】と。
ですから私はこうして、誰かの役に立つ仕事に就きたかったのです。
もう誰も、あんなふうに売られたりされないように。
…偶然私を買ってくださった旦那様、奥様にはとても感謝しております。
しかし……………今のあの方たちのやっていることは間違いです。
A様は、縛られずに生きなければなりません。
____この家を、出ていくのです』
A『え…?』
『私がなんとか致します。都合のいい日を探し、なんとか……!』
この子だけは、守らなければ。
私のようになってしまうのではないかととても怖い。
A『……わかった。ちよさん、お願いします』
『承知いたしました』
___でも………私たちが相談している間に、
まさか旦那様と奥様もご相談なさっていたなんて知りもしなかった。
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作者名:イチゴ・チョコレート | 作成日時:2017年1月15日 14時