一匹狼。2 【Shota.W】 (ページ32)

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｢ ………… ｣

なんか、私の知らない渡辺くんだ。

直感的にそう思った。

マネージャーさんがめちゃくちゃ可愛いからか、

なんか彼の口角も上がってるし。

そりゃ私や岩本くんたちといるときも笑うけど、

………なんか、…違うなあって。

｢ …いこっか｣

気がつけば、そんな言葉が口から出ていた。

阿部くんも邪魔しちゃいけないと思ったらしく、

静かに頷く。

まだ渡辺くんたちの話は終わりそうにないので、

2人で音を立てないように階段から廊下に戻った。

阿部｢ごめんね若林さん、連れ回しちゃって｣

｢いや全然！あ、…でも伝言どうしよう｣

阿部｢あ、ほんとだ。

どーするかな………紙にでも書こうかな笑｣

｢え、それ大変じゃない？笑｣

でもそれしかないしさー、と笑う阿部くんと、

クラスまでの道を歩いていると。

阿部｢あ、翔太ー！｣

渡辺｢え、なに｣

後ろを振り向くと、なんと渡辺くんが。

先輩との話が終わったのだろう。

……なんか、心做しか渡辺くんの顔が赤いような。

変なとこに気がついて、なんでかそれに後悔した。

なんだろ、なんかさっきから落ち込んでる。

阿部｢照から伝言あずかっててさ、えーと…… ｣

急いで阿部くんが渡辺くんに伝言を伝える。

よかった、紙に書く手間が省けたようで。

でもやっぱり、さっきの光景が忘れられてない私。

文化祭でのこともあるし、変に意識してるのかも。

うん、きっとそうだ。

渡辺｢ん、わかった。ありがと阿部ちゃん｣

阿部｢いえいえ。じゃ、俺戻るね。

若林さんもまたね｣

｢うん、また｣

阿部くんに手を振り返し、

流れで私は渡辺くんとクラスに戻る。

渡辺｢ …あ、若林さん、俺部活の掃除はやんなきゃ

いけないらしいから…今日勉強会できないかも｣

｢あ、そうなんだ！頑張ってね｣

渡辺｢うん｣

結局そう話しただけで、私のモヤモヤは募るばかり
だった。

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