一匹狼。2 【Shota.W】 (ページ31)

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｢あ、阿部くん。どうしたの？｣

後ろのドアから入ってきたらしい阿部くん。

阿部｢照から伝言頼まれてさ。翔太いない？｣

どうやら岩本くんから部活関連で伝言を頼まれた
らしい。

でも当の渡辺くんはいないわけで。

｢どっか行っちゃったみたい。廊下かな｣

ちらっと廊下を見てみたけど、見当たらない。

阿部｢今言わないとまずいんだよなぁ｣

｢あ、私から言っておこうか？｣

阿部｢そうしたいんだけど、ちょっとややこしくて。

部室の掃除がどうたらって言ってたから｣

｢あーそっか｣

変に伝言間違えても悪いので、

流れで阿部くんと渡辺くんを探すことになった。

その間の話題も、もちろん渡辺くん。

阿部｢今回も翔太に勉強教えてんの？｣

｢うん。部活休んでるし必死だよ笑｣

阿部｢うわー…ガチじゃん笑｣

そんな話をしていると、

あっという間に2年の廊下を一周してしまって。

｢いないね｣

阿部｢他の階にでも行ってんのかな｣

2人で階段のところまで行くと、

阿部｢ …あ、若林さんちょっと｣

｢？｣

阿部くんが右手で私を制した。

踊り場に、誰かいるんだろうか。

バレないように踊り場を覗き込んでみると、

｢えっ｣

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すごく綺麗な女の人と、渡辺くんがいた。

女の人の方は、ネクタイの色からして先輩。

その瞬間、妙に心臓が高鳴り出したのがわかる。

そして、

阿部｢ …あの人たしか、バスケ部のマネージャーだ｣

そう阿部くんが呟くのが聞こえた。

バスケ部は、次の大会で3年生が引退する予定。

その、マネージャーさんということだ。

2人はなにやら、楽しそうに話してる。

？｢翔太、文化祭のときかっこよかったね｣

渡辺｢え、そう、ですか？｣

？｢かっこよかったよ～、友達もみんな噂してたし。

1位だったでしょ？すごかった｣

ふふ、と微笑む先輩は、すごく可愛くて。

照れたように笑う渡辺くんも、初めて見たような。