一 匹 狼。2 【Shota.W】

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渡辺 side







｢ …行けた、ありがとう ｣







まさか一緒に劇見に行けるなんて思ってなかった。







『翔太くんも見に来てください』って本当にめめから
言われてたんだけど、







照たちとはシフト被ってて、






他に友達もいないしな…って思ってたから。









田中 ｢ 翔太は奥手だからさー、






もっとガツッといかないと気づいてもらえないって ｣









いつの間に樹までこんなに協力的になったんだろ。





2人で作業してるときにちらっと言っただけなのに。









｢ 俺は俺のペースでやるから ｣






田中 ｢ そのペースが遅いんだって！｣







そんな樹の言葉にむっとして、






｢ でも今日、…………









…あ、やっぱいい ｣









俺だって嫌いなお化け屋敷入って、






怖いのめちゃくちゃ我慢して、手握ったし、







なんならそのあとも一緒に他のとこ回ったし、









って言おうかと思ったけど…。









田中 ｢ は！？なにそれ気になるじゃん！｣




｢ 言わないー ｣





田中 ｢ 言えよ！｣






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この嬉しすぎる気持ちは、




逆に他の誰にも伝えたくないな、なんて思った。







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田中 ｢ 翔太がなんも教えてくれないんだけど ｣






松村 ｢ 別にいいだろ聞かなくても笑







…あ、うちのクラス1位だ ｣








田中 ｢ マジで！？！？｣









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｢ …え、そうなの ｣








余韻に浸りすぎて



うちのクラスが投票で1位だったのに気づいたのは、









A ｢ やったー！｣









そんな彼女の声が聞こえた時だった。






こんな時でも俺は、若林さんの事ばっかりらしい。









ーーーーー






A side







『 今年の文化祭投票、1位は…………






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『 メイド&執事喫茶 』です！｣









文化祭委員長のその一声で体育館に響き渡る、







うちのクラスの歓喜の声と拍手。









｢ やったー！｣






思わず朱里とハイタッチ。







朱里 ｢ 頑張った甲斐あった！｣





｢ ね！｣






女子も男子も、めちゃくちゃ嬉しそうで。






もちろん私もすごく嬉しい。









ちらりと前の渡辺くんを見ると、









｢ …っふふ、｣






彼はぽかんと口を開けていた。

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