一匹狼。2 【Shota.W】 (ページ29)

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渡辺 side

今俺は、過去の自分を少しだけ恨んでいる。

A ｢何かと間違ったんだろうなーって｣

そう言って笑う若林さんに対して、ちょっと冷や汗
までかいてきた。

話を切り出されたのはちょっと前。

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俺が文化祭の休憩中に寝てたとき、

夢の中で若林さんに『好き』って言ったのを……

聞かれていた、みたいで。

( …俺、やったわ……… )

たまにある。

夢の中だけで言ったはずが、実際に口に出して寝な
がら言ってた、とか……。

ちっちゃい頃からたまにそういうのあって、

その度に涼太から『またなんか言ってたよ』って

よく言われてたし。

でもこれを、高校生になってもやるとか………。

しかも、言った言葉もかなりやばいし。

さらに、聞かれてたのは好きな人で。

｢えーーーっと…… ｣

若林さんは、普通に俺が寝言を言ったと思ってる。

『好き』って言ったことに対しても、

なにかと間違えたのかなって、なんて言ってるし。

A ｢あ、ごめん！

こんなこと言われても覚えてないよね、寝てたし… ｣

俺が困ってると思ったのか、謝る若林さん。

｢いや、………… ｣

どうしよう。

このまま、『覚えてない』って言うのは簡単。

だけど…………。

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＿＿＿＿『もっとガツッといかないと気づいてもら
えないって！』

＿＿＿『翔太はさ、どうなりたいの？若林さんと』

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＿＿＿＿＿＿…俺は、

A ｢あ、そろそろ下校時間だ…。

ごめんね、変なこと言って。帰ろっか｣

ううん、違う。待って。

伝えなきゃ。

直感的にそう思って、

立ち上がって教材を片付ける若林さんを見上げた。

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｢期末終わったら、話すから｣

俺は、前に進みたいから。

このまま、中途半端な『友達』じゃ嫌だ。

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ちゃんと思い、話さなきゃダメなんだよな。

A ｢うん、じゃあその時に話してね！｣

｢ …う、うん……… ｣