一匹狼。2 【Shota.W】 (ページ25)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:712,324 hit

74. ページ25

.

.

朱里｢で、なんかあったの？｣

片付けが終わって解散した後。

私と朱里は駅前のファミレスにやってきた。

お疲れ様会も兼ねて私の話を聞いてもらうためだ。

でも、いざ話すとなったらどう切り出したらいいの
かまったくわからなくて。

｢いやその、…なんて言ったらいいのかなぁ｣

言い方に戸惑っていると、

朱里｢ …え、渡辺くんのことでしょ？｣

｢え、なんでわかったの、！？｣

半ば呆れたように朱里は言った。

朱里｢えー…そりゃそうでしょ。

だってA、それ以外に悩むことなさそうだし｣

｢さすが… ｣

伊達に一緒にいないな、と実感する。

私は、もうそこまでバレてるなら、と、

半分勢いに任せて文化祭での出来事を話した。

.

.

朱里｢えーー手まで繋いだの！？｣

｢手首！手首だから！｣

最後まで話し終わった頃には、

頼んでいたケーキは平らげられていた。

朱里はそこそこに興奮しながら私の話を聞き、

｢ねえ、これって普通に思い込みすぎなだけだよね？

絶対、寝言も別の何かと勘違いしてるよね？｣

私のほぼほぼ誘導尋問な言葉に、

朱里｢ …いやー、私はそうは思わないけど｣

私の思っていた答えとは違うものが返ってきた。

｢え、嘘、｣

朱里｢いや寝言はさすがにわかんないけどさ、

手首握ったりその後一緒に回ったり、

っていうか劇誘われてる時点でさ、

.

.

渡辺くんから普通に好かれてるんじゃないの？｣

｢え、えー…そうなの？｣

朱里｢そりゃそうでしょ？

だってさ、別に一緒にいて楽しくない人とか、

ましてや嫌いな人とそんなことする？

特に渡辺くんは、クラスの人にも心開いてないのに｣

｢そう言われれば、たしかにそうだけど｣

確かに、私なら嫌いな人とそんなことはしない。

だとしてもそれは、自惚れすぎなんじゃ。

朱里｢恋愛かどうかは置いといてさ、

少なからず好かれてるよ、Aは｣

…あまりにも正論すぎて、私は何も言えなかった。