一匹狼。【Shota.W】 (ページ23)

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ビーッ！

試合終了の合図が響く。

｢やった！｣

河中｢勝ったぁー！｣

うちの勝ちだ。

かなりの接戦で、最後まで勝てるかわかんなかったくらい。

私たちの周りにいる人たちも、

嬉しそうにハイタッチしたり、

『お疲れ様ー！』とコートに叫んだり。

でも選手のみんなはかなり疲れてるみたいで、

そんな声にもあんまり反応を示さなかった。

｢…え、これ私差し入れ持っていっていいの？｣

河中｢なんでよ｣

｢だってなんか………嫌がられない？｣

疲れてるときに尚更気を使わすようなことはしたくない。

河中｢そんな気負わなくてもいいんじゃない？

だって食べ物だし、Aの料理は美味しいもん！｣

｢うーん……じゃあ行こう、かな笑｣

朱里は食べることが好きで、

買い食いも好きらしいんだけど、お金がなくなるからという理由で一時期やめにしていた。

でも、好きなことを我慢して欲しくないって

思った私が朱里に差し入れしたのがきっかけで、

河中｢今や買い食いよりもAが作ってくれるお菓子とかちょっとしたおかずの方が好きだよ！｣

なんて言ってくれる。

河中｢はい、自信もって！いってきなよ！｣

｢…え、朱里来ないの？岩本くんいるよ？｣

朱里はそれに対して、

『それはそうだけど』と前置きしてからスマホを取り出した。

河中｢私は蓮に試合の結果報告する約束だから、

先外行ってる！｣

｢……そーですか｣

じゃあ、勇気出して渡すんだよ！

と後押しして、朱里は出入口に繋がる階段を下りていった。

｢もう、嘘でしょ………｣

朱里はいるもんだと思ってた……。

1人は勇気いるよ……。

でも、せっかく作ったし…なんなら相手がバスケ部だから結構多めに作ったから、食べてほしい。

｢っよし！｣

もうこの際、ちゃちゃっと渡してちゃちゃっと帰ろう！

そう思い、

柱に貼られてる貼り紙を見て、

うちのバスケ部の控え室を探した。