一匹狼。【Shota.W】 (ページ11)

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｢だから、これがこの答えになるの。

わかった？｣

渡辺｢うん、わかった｣

皆さんお気づきになられたでしょう。

どうして私が今、渡辺くんに勉強を教えているかと言うと。

話は少し前に遡る。

ーーー

そろそろ中間テストが近くなってきた。

騒がしいうちのクラスにも、テストモードに切り替えていく子たちが出始めた。

…なのに後ろのこの人ときたら。

渡辺｢ Zzz………｣

悠長に寝てる。笑

今回範囲狭いとはいえ大丈夫かな。

ガラッ

阿部｢翔太ー、ノート持ってきたけど｣

そのとき、後ろのドアから入ってきたのは

常に成績トップクラスでゴリゴリの理系である阿部亮平くん。

成績優秀で先生からの信頼もあつく、次期生徒会長とも言われている……

簡単に言えば、すごい人。

私は委員会で何度か話した程度だけど、

ごく一般的なトップクラスの人とはちょっと違って親しみやすい。

…まあ頭の回転は異次元レベルだけど。

そして彼は、渡辺くんと中学の頃から一緒らしい。

この話の流れを見る限り、阿部くんはどうやらテストの度に渡辺くんにノートを貸してたっぽい。

渡辺｢…あー……阿部ちゃん、今回はノート大丈夫かも｣

この休み時間珍しく起きていた彼は、

さっきの世界史の時間に地味についてしまった寝癖を撫でながらそう言っていた。

これには阿部くんも驚いたらしく、

阿部｢えっなんで？授業聞いてんの？｣

と驚いて聞き返した。

渡辺｢……いや、聞いてはないけど｣

阿部｢え、でもノートめっちゃまとめてんじゃん。

急にどうした？笑｣

すると渡辺くんは、ちらりと私の方を見る。

渡辺｢…若林さんが、貸してくれてるから｣

阿部｢えっそうなの？｣

｢うん笑｣

阿部｢…なんかごめん、翔太に貸し始めたらキリないのに｣

渡辺｢本人目の前にしてさ、そんなこと言う？普通｣

阿部｢まあ俺はもう慣れてるけど笑

てか、翔太のことだから授業中とかに借りてんでしょ｣

元クラスメイトの指摘に詰まる渡辺くん。

まあ間違ってはない……っていうか大当たり。

｢いや私は全然！貸したくて貸してるみたいなとこあるし気にしないでよ｣

阿部｢んー…じゃあ、ノート貸さなくても翔太が勉強する方法考えよう｣

そうして、冒頭に戻る。