一匹狼。【Shota.W】 (ページ2)

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Aside

｢若林、若林……あった。…えっ｣

河中｢え、どした？｣

｢一番後ろじゃないんだけど…！｣

高校二年生の春。

みんなお待ちかねのクラス替えの時期。

今年から文理で分かれたクラスになり、私は文系。

河中｢そんくらいでへこまないのw｣

親友の河中朱里(あかり)と今年こそ同じクラスになれたし、かなり舞い上がってた。

でも毎回、私はクラス替えそのものが楽しみだった。

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だって最初のクラス替えは、100%出席番号順で席が決まってるから。

私の名前は若林A。

小学校の頃から常に出席番号は1番最後。

つまり、クラス替えの時期は絶対窓際の一番後ろの席になれるのだ。

小学校の頃はそんなに気にしなかったんだけど、

中学に上がってから窓際の一番後ろの席っていうのはとても楽な席なんだって分かって、

以来この苗字に対する好感度が少し上がった。

前までは、いつも1番最後って決まってて面白くないなって思ってたけど。

だから今年も、最初の１、２ヶ月は一番後ろでのんびりできるなあ、なんて思ってた。

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……のに。

河中｢へ～、若林よりも後ろがいるんだ。

…あー渡辺くんか｣

私の後ろの席…つまり、窓際の一番後ろの席になっているのは……

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『渡辺翔太』。

女子ならよかったんだけどな、男子かあ。

ちなみに私たちが入学する前の年から、

出席番号は男女混合になったから男女が前後ろの席になるのは不思議じゃない。

｢朱里知ってるの？｣

河中｢いや知らない。

渡辺なら若林よりも後ろだよねって納得しただけ。

てかこんな人いた？｣

｢まあ8クラスもあったら知らない人くらいいるよ｣

私だってこのクラスになって、知らない人だらけ。

みんなそんな感じだから、また1から友達づくり始めなきゃいけないんだよね。