じぇっつなかんづめ。【短編集】② (ページ10)

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◆橋本涼ページ10

涼side

ここに住み込みで執事を始めて約2週間。

仕事は楽しいし、お嬢様と話す機会も少しずつ増えてきた。

お嬢様はとにかく可愛いし、礼儀正しい。

俺のことを、『涼さん』って呼んでくれるお嬢様の声も好きなんだよな。

でも、俺はお嬢様に対してちょっと不満がある。

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それは、お嬢様が俺たちに頼み事をしないこと。

つまり、手がかからないってことなんだけど。

マジで俺らの仕事って少ない。

みんなで割り当てた仕事を終えて、あと気になったところをちょちょっとやってしまえば、もうその日の仕事は終わってしまうことがほとんど。

他の人からしたら、『仕事少なくてラッキー』ぐらいなんだろうけど…

いや、そういうレベルじゃねえぞって笑

ハッキリ言ってヒマ。笑

何か困ったことはありませんか？ってお嬢様に単刀直入に聞いたことがあるんだけどね。

A『うーん……ないですね！』

バリバリの笑顔でそう返された。

最初の頃は、ただ単に執事という存在に慣れてないだけだと思ってた。

俺たちが来る前まで、お嬢様のお世話をしていたのはベテランのメイドさんだったって聞いてるし。

だから、時間が経てば慣れてくれて、ちょっとずつ頼ってくれる場面もあるかな、とか思ったり。

まあ…、2週間経ったのにそんな場面こないけどな。

でもなんでか最近、瑞稀とお嬢様の仲が深まってる気がする。

何があったんだって聞いても、『なんでもないって』と超幸せそうに笑うだけ。

｢ずりーわー…｣