じぇっつなかんづめ。【短編集】② (ページ6)

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特に女の子同士だったら、趣味が違うのもしょっちゅうだよね。

A｢意外とグサッてきちゃうんですよね、自分の好きなもの否定されたときって｣

｢そうですね…｣

あーお嬢様がめちゃくちゃ悲しそうじゃん！

誰だよその否定した友達！

とにかく、今はお嬢様を笑顔にさせることを優先させないと。

ホースを元の位置に戻しつつ考えた結果。

｢お嬢様、ひとつお願いがあるのですが｣

A｢？なんですか？｣

地面に片膝をついて、座っているお嬢様を見上げた。

｢俺にお嬢様のお好きな歌、お聴かせくださいませんか？｣

このままお嬢様が好きなものを好きと言えなくなってしまうのは、1番ダメ。

お世話をすることが俺らの仕事として与えられたことだけど、お嬢様の日々を楽しくさせることも、俺たちの仕事でしょ！

どうでしょう、と笑ってみせた。

するとお嬢様の顔は、明るくなっていく。

A｢はい！｣

早速椅子から立ち上がったと思ったとき、お嬢様は俺の手首を握っていた。

｢っえ？あの、お嬢様？｣

戸惑いまくりの俺。

でもお嬢様は俺の手を引っ張ってちょっと駆け足。

お嬢様との身長差は歳が近いながらもちょっとあるから、俺は若干つんのめりそうになる。

けど俺は、大人しいお嬢様がこんなにも行動的になることがあるんだって、

新しい一面を知れたようで、嬉しかった。

なにより、手を繋いでるからかニヤけがとまらなかった。←

ーーー

部屋に着き、お嬢様はイヤホンとスマホを手に嬉しそうな顔。

俺の隣に腰掛け、右のイヤホンを耳につけた。

A｢どうぞ｣

｢あ、ありがとうございます…｣

あの、カップルがよくするあのシチュエーション。

イヤホンを2人で共有するみたいなあれだ。

A｢じゃあ、流しますね｣

｢はい｣

すると、左耳から聞こえてきた音楽。

これは…

｢っこれ、俺も好きなやつです！｣

A｢えっそうなんですか!?｣

これ、俺が今日歌ってたドラマの、オープニングの曲だ。

こっちもいい歌で、好きなんだよなあ。

｢はい！｣

やや興奮気味にお嬢様の方を向くと、意外と近くて。

ちょっと照れながら、おとなしく前を向いた。