じぇっつなかんづめ。【短編集】② (ページ4)

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一旦ドアを閉め、ちらちらと廊下の先や隣の物置なんかを開けてみたけど見当たらない。

すると、

？｢あの…｣

後ろから声がした。

5人同時に声のした方を見ると、

？｢今日からいらっしゃる、執事さんですか？｣

薄いピンク色のふわふわしたワンピースを着た女の子。

色白で髪は少し茶色、顔は奥様に似てる。

つまり美人。

優斗｢そうです。えっと…｣

？｢西條Aと申します。よろしくおねがいします｣

ぺこりと頭を下げた。

俺たちは慌ててその頭を上げさせる。

まさか俺たちより先に向こうが頭を下げるなんて思ってなかったから。

｢挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。執事の井上瑞稀と申します｣

ひとまず全員挨拶。

お嬢様は可愛らしく笑って、俺の目を見る。

A｢瑞稀さん、よろしくおねがいします｣

俺はぽかーんと口を開けたまま、『はぁ』と間抜けな返事をした。

…名前呼び、されるんだ。

A｢涼さん｣
A｢優斗さん｣
A｢蒼弥さん｣
A｢龍斗さん｣

お嬢様は俺たちをそう呼ぶと宣言し、再度にっこり笑って、

A｢みなさん、よろしくおねがいします｣

そう言って、俺らを部屋に案内してくれた。

ーーー

ガチャン

｢はぁ…｣

俺らに用意されたのはでかい部屋。

それも一人一部屋。使用人部屋ってもっと簡易的じゃないのか。

俺はとりあえず荷物を置き、スマホを取り出す。

『お嬢様がいい子すぎる』

グループにそう送り、必要最低限のものを荷解きした。

するとすぐに返事が帰ってくる。

龍斗『わかる』

蒼弥『お嬢様っていうからもっとわがままな人を想像してた』

涼『控えめに言っても天使だよね』

優斗『めっちゃ可愛い』

早くも職場が天国になりそうだ。