じぇっつなかんづめ。【短編集】② (ページ3)

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瑞稀side

｢Aのことをよろしく頼むよ。

あの子の話も聞いてあげられないし、成長をこの目で見ることもできないのはとても残念だけど…｣

｢あの子はもう高校生だし、そんなに手はかからないと思うわ。

でも…私たちが聞けない分の、わがままを聞いてあげてほしいの。どうか、お願いね｣

旦那様と奥様はそう言って涙を浮かべながら悲しそうに笑い、少し頭を下げて飛行機へと乗り込む。

｢｢｢｢｢かしこまりました｣｣｣｣｣

俺たち5人は揃って頭を下げ、飛行機が飛び立つまで見守っていた。

｢A様かぁー…どんな子だろ｣

今日から俺たち5人がお世話をする旦那様と奥様の一人娘・Aお嬢様。

写真も見せてもらってないから、顔も分からない。

分かってるのは、高校生ってことくらい。

涼｢とりあえず会ってみなきゃわかんないよね｣

優斗｢うわーなんかドキドキする！｣

実は全員今回が初めての仕事。

研修やら講習やら試験やらを突破してきたものの、結局は実践あるのみ。

ということで、めっちゃ緊張してる。

蒼弥｢とりあえずお屋敷行くかー｣

ガリさんが車のキーをくるくる回しながら荷物を出口へ向かう。

法律的に言えば免許を取るには少し早いけど、俺たちが所属している事務所は特別に免許が取れるっていうシステム。

この中ではガリさんしか持ってないんだけどね、免許。

ーーー

でっかい豪邸につき、その大きさに驚きつつドアを開けた。

ガチャ…

｢静かー…｣

龍斗｢ここ他の執事とかメイドとかいないの？｣

蒼弥｢なんか俺らが来るから出てったらしいよ？｣

ちなみにコックさんはいるらしい。

優斗｢まずはお嬢様に挨拶しないと｣

教えてもらったお嬢様の部屋へ。

ほんとに誰もいないんじゃないかってくらいの静かさだ。

どんな方なんだろうと思いながらたどり着いた部屋。

代表してはしもっちゃんがドアをノックした。

涼｢Aお嬢様、今日から働かせていただく者です｣

シーン…

いない？

蒼弥｢1回開けてみよ。緊急事態かもしんない｣

万一のことを考え、そのままはしもっちゃんがドアをそろりと開けた。

涼｢あれ？｣

龍斗｢え、いないじゃん｣

部屋には誰もいなかった。

窓もあいてないから脱走とかはないだろうし。

｢どこ行ったんだろ｣