5話 助けてやって欲しい。 ページ6
「やっほ、蜂谷ちゃん。」
「帰れ。」
なんで居るんだ。
「ひどいなぁ。電話出ないからわざわざ来たのに。」
「しっし、あっち行け。」
「まぁまぁそんなこと言わないで。」
とりあえず座って話そうよ、と背中を押してくるこの男。軽くてチャラくて性格の悪いコイツは、中学時代の同級生、佐倉豊。妙に距離が近く腹の底が読めない佐倉が蜂谷は昔から苦手…というか、嫌いだった。
「例の件なら嫌って言ったよね。」
「うん、言われた。でも頼むよ。」
「ふざけるなら帰って。」
「おれは真面目だよ。」
君にしか頼めないんだと、薄ら笑顔を浮かべて頼んでくる佐倉に嫌悪感を抱きつつそれを跳ね除けられない自分が居た。
意味の無いことをする奴ではないと、頭でしっかり理解していたから。
「佐倉の妹ちゃんと保科のお気に入りだって?」
「うん。自分の命よりも大切な子と、世界で1番信頼してる奴のね。」
「珍しく素直だ。」
「おれはいつも真面目で素直ないい子だよ。」
「真面目で素直ないい子は自分でそんなこと言わないんだよ。」
あぁ、嫌いだ。嘘と偽りに溢れたこの男が、私は嫌で嫌で仕方がない。
「…怪獣は嫌い。」
「彼は人間だ。」
「怪獣だよ。」
「四ノ宮ちゃんの前で同じことが言える?」
「逆に言えないと思う?」
「思わない。君なら言うだろうね、容赦なく。」
じゃあなんで聞いたんだ。
そう呆れながらジュースを飲めば、佐倉はいつものように薄っぺらな笑みと軽薄な声で言った。
「…頼むよ。助けてやって欲しい。無理に優しくしなくていいから、彼に力をやって欲しいんだ。」
嘘のようで、そんなこと思っていないようで、けれどその言葉が本当であることを私は知っていた。
「…意味わかんない。そんなに大事なの?」
「うん、大事。」
珍しく、裏表のない純粋な笑顔だった。
「…はぁぁぁー…はいはい、分かった、分かったから、もういいよ…。」
「本当?わぁ〜ありがと〜。」
「うっざ。」
やっぱやめとこうかな。
「まぁまぁいいじゃん。」
「言っとくけど、私は第一の人間だ。鳴海が嫌だって言うんなら私はそっちに従う。8号を見て無理だと思っても同様。それでもいいなら引き受ける。」
それでいい?と問いかければ、彼は満足気に笑って頷いた。
ーさわの小言ー
佐倉豊(さくら ゆたか)
保科、蜂谷と同世代。中高同じクラス。蜂谷は中学まで。
出雲デラックスの社員で、割とすごい人なので功さんとかとのパイプもある。人懐っこい。
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さわ(プロフ) - すぶたさん» コメントありがとうございます!これかれも更新頑張ります! (2022年3月27日 9時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
すぶた(プロフ) - なんだこの面白すぎる作品は…!!続きが楽しみすぎて夜しか眠れない(‘ᾥ’)更新待ってます!! (2022年3月26日 0時) (レス) id: d948df5e48 (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - ともさん» リクエストありがとうございます!確かに亜白隊長と絡んでない…今後番外編として書かせていただきます! (2022年3月17日 18時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
とも - リクエストしたいです!亜白隊長との絡みを見てみたいです (2022年3月17日 17時) (レス) id: 3035439a9e (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします😭 (2022年2月19日 13時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さわ | 作成日時:2021年12月8日 16時