37話 下敷きになった｡ ページ40
｢8号くん､これ重いから持って｡｣
｢あ､はい｡｣
死にかけの佐倉を人に戻った8号に渡し､鳴海の方へと目をやった｡
…あ､
｢鳴海､血が…｡｣
｢君が言うか｡｣
｢…あぁ｡｣
言われて､気がついた｡額の古傷の部分から､血が流れている｡攻撃がかすってたのかもしれない｡アドレナリンが出まくってるせいで気が付かなかったのかな｡そうか､これがあるから防衛隊のスーツにはバイタルチェックなんて機能があるのか｡
血の臭いがした｡鼻血も出ているみたいだった｡何年ぶりかな､こんなのは｡
｢撤収だ｡帰るぞ｡｣
｢うん｡｣
鳴海の背を追おうとした｡足が動かなかった｡
ズキンと､何かが痛む｡なんだろうと思って､少しでも痛みを和らげたくて､左胸を抑えた｡
｢…怪我か？｣
｢…大丈夫｡昔の､古傷｡｣
完治したはずの古傷が､酷く傷んだ｡何も考えられなかった｡ただ､普段心配なんてしない彼が､こちらを見て不安げな顔をするから｡
どうすればいいのか分からなくて､少し､無理に笑ってみた｡
｢ブサイクだな｡｣
｢斬られたいならそう言え？｣
はぁ､とため息をつきつつ鳴海の後を追った｡今度はすんなり足が動いた｡負傷者は運んで､後処理のために清掃を呼んで､報道陣への対応からこれからのことまで｡
やることは､まだまだ有り余っている｡
止まっている暇は無いのだ｡
そんな､暇は＿＿＿＿｢怜！｣
瞬間｡
ガコンっ､という音と同時に､辛うじて形を保っていた建物の一部が崩れ､蜂谷に向かって落下した｡
避けられるし､彼女ならば切り刻むことも容易い｡誰もがそう思っていたし｡蜂谷本人だってそう思っていた｡が｡
｢怜ちゃん！！｣
ただ1人､佐倉豊だけが､それが不可能だということを知っていた｡
｢…っ！！｣
上を向いた瞬間､蜂谷の時はピタッと止まる｡
まるで金縛りにでもあったかのように眼球ひとつ動かなくなってしまう｡
『怜！早く逃げなさい！！』
『怜！！伏せて！！』
やだ､いやだ､パパ､ママ､
｢…！？おい怜！早く避け､｣
避けろ｡
その一言が聞こえる前に､蜂谷は瓦礫の下敷きになった｡
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さわ(プロフ) - すぶたさん» コメントありがとうございます！これかれも更新頑張ります！ (2022年3月27日 9時) (
レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
すぶた(プロフ) - なんだこの面白すぎる作品は…！！続きが楽しみすぎて夜しか眠れない(‘ᾥ’)更新待ってます！！ (2022年3月26日 0時) (レス) id: d948df5e48 (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - ともさん» リクエストありがとうございます！確かに亜白隊長と絡んでない…今後番外編として書かせていただきます！ (2022年3月17日 18時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
とも - リクエストしたいです！亜白隊長との絡みを見てみたいです (2022年3月17日 17時) (レス) id: 3035439a9e (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます！これからも応援よろしくお願いします😭 (2022年2月19日 13時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さわ | 作成日時：2021年12月8日 16時
