29話 9号の狙いは。 ページ31
『何事だ!』
『怪獣反応!?』
『現在詳細を調査中!』
『間に合っタか』
嫌な予感。
『強大な怪獣の力はもらっていくよ。』
今日はこんなのばっかりだ。胸のところがぐちゃぐちゃになって、空気が喉に詰まって、吐き気がする。
『鳴海隊長!!こいつ本体じゃない!!』
『あー…見つけタぞ…適合者と怪獣2号。』
背中がゾクリとした。
コイツらは全部囮。
狙いは長官…いや、怪獣2号だ。
それに気がついた途端、本部に向かって全速力で足を動かす。
「怜、さっき言ってたのはなんだ!奴の狙いは!予測でいい話せ!」
分かりやすく焦った声に、珍しいなと思った。少しだけ頭が冷えて、考えがまとまる。
「…9号は…もしかしたら、怪獣の力を奪えるんじゃ、ないかな。だから、強大な怪獣の力をもらう。」
「そこまではボクも予想がつく。聞きたいのはその先だ。あるんだろ。」
走るスピードを緩めることなく、頭の中で文章を組み立てていく。
「…9号の狙いは、怪獣を作ることなのかもしれない。」
「っ!?」
「立川襲撃後、第三部隊に8号について聞きに行った。第三以外まで行って、色々話聞いて回って。その中に9号と対敵した子がいて。」
彼の言葉を思い出す。
「このまま退くのもなんだし、せめて生きた人間のサンプルでも持って帰るか。」
「…人間のサンプル?」
「そう。生きた人間を食べたいとかじゃなく、サンプルだってよ。」
まるで、こう言ってるみたいだ。
生きた人間で実験をします、と。
「8号は怪獣喰って怪獣になった。…同じように、人間を怪獣にできたら?9号は怪獣を操り、手駒にする能力がある。死んだ怪獣を蘇らせることもできる。」
「…なるほど。不死身の怪獣軍ってわけか。」
「うん。保科が、10号は戦いを楽しんでたって言ってた。明らか怪獣の範疇超えた感情だよ。」
もしかして。
「もしかして、10号は元々人間だったんじゃないの?元人間が捕まって改造されて、怪獣になっちゃったんじゃないの?だから人間の言葉を喋って、感情を持って、嬉々として戦ったんじゃ…?」
そう考えれば、次々と溢れだしてくる不安要素。不確定で、根拠のひとつもない恐れ。
「もしかしたら、9号も元は8号みたいな人間で、飲み込まれちゃったんじゃないの?それなら、本当の奴の狙いは____!」
「怜。」
一瞬で、思考が止まった。
「っ!…ごめん。」
「気にするな。あとは全部終わってから聞くことにする。」
「…うん。」
落ち着け。最悪、だとして。
(…大丈夫。)
あの日より苦しいことなんて、あるわけがないじゃないか。
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さわ(プロフ) - すぶたさん» コメントありがとうございます!これかれも更新頑張ります! (2022年3月27日 9時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
すぶた(プロフ) - なんだこの面白すぎる作品は…!!続きが楽しみすぎて夜しか眠れない(‘ᾥ’)更新待ってます!! (2022年3月26日 0時) (レス) id: d948df5e48 (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - ともさん» リクエストありがとうございます!確かに亜白隊長と絡んでない…今後番外編として書かせていただきます! (2022年3月17日 18時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
とも - リクエストしたいです!亜白隊長との絡みを見てみたいです (2022年3月17日 17時) (レス) id: 3035439a9e (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします😭 (2022年2月19日 13時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さわ | 作成日時:2021年12月8日 16時