22話 理由はだいたい3つかな｡ ページ24
｢…はぁぁぁぁーー…｡｣
｢えーなにそのため息！新人ちゃんひどい！｣
少し大袈裟にリアクションする蜂谷に急いで謝罪をするキコル｡しかしキコルの溜め息も当たり前で､大きな罪悪感を抱いていた彼女からすれば蜂谷の嘘はタチが悪すぎたのだ｡
｢まーいじわるしちゃったのはそうなんだけどね｡ごめんね､ほんと｡｣
全く反省の色のない謝罪にキコルは思わず顔をひきつらせる｡が､続いた蜂谷の言葉にそれもなくなった｡
｢8号くんを怪獣と思う人間とか怒りや憎しみを向ける人間は割といるから､慣れてもらわなきゃ｡別に私は8号くん嫌いじゃないよ｡まぁ好きでもないし､臭いはキツイけど｡｣
怪獣特有の臭いはかなりしんどいし､加齢臭もかなりする｡失礼だが仕方がない事実だ｡
やー大変だぁ､と呑気な声を出す蜂谷にキコルは大きな違和感を抱いた｡彼女の持つ怒りは､悲しみは､どこまでも深く底が知れない｡それなのに何故､半分は怪獣であるカフカにそこまでできるのか｡
どうしても､分からなかった｡
｢…蜂谷小隊長は､｣
彼女は何故｡
｢どうして､防衛隊員になったんですか｡｣
何故､この場所にいるのだろう｡
｢えーなになに？気になる？蜂谷小隊長のカッコよ冒険談気になっちゃう？｣
｢茶化さずに！｣
｢あはは､ごめんごめん｡防衛隊員になった理由だっけ｡｣
ケラケラと笑ってから､蜂谷はどこか遠くを見つめて｢そうだなぁ｣と呟いた｡何かを懐かしむような､どこか優しい眼差しだった｡
｢理由は3つ｡1つは､死にたくないから｡｣
｢…え､｣
何言ってんだこいつ｡
思わずそう思ってしまった｡防衛隊員なんて命懸けの仕事を選んでおいて死にたくないからだなんて､どんな矛盾だ｡
そんな心を読まれたのだろう｡何言ってんだって思うよねぇと笑う蜂谷にキコルはギクッと肩を揺らした｡
｢確かに防衛隊員は命懸けだけど､それは普通に生きてても同じことだよ｡普通に平和に､サラリーマンとかやってても次の瞬間死んじゃうかもしれないじゃん｡それこそ､事故とか病気とか｡｣
｢…そう､ですね｡｣
過去､自分の両親がそうだったように｡ありとあらゆる街や人が､1匹の怪獣に壊されるように｡
｢自分で自分を守れるようになりたかった｡いざという時何もできないのは辛くて苦しいばっかりだって知ったから｡｣
あの悪夢を繰り返したくなかった｡あの地獄を誰にも教えたくなかった｡
｢誰かがピンチなとき､カッコよく助けてやりたいんだ｡カッコイイこと､大好きだから｡｣
それが､2つ目の理由だった｡
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さわ(プロフ) - すぶたさん» コメントありがとうございます！これかれも更新頑張ります！ (2022年3月27日 9時) (
レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
すぶた(プロフ) - なんだこの面白すぎる作品は…！！続きが楽しみすぎて夜しか眠れない(‘ᾥ’)更新待ってます！！ (2022年3月26日 0時) (レス) id: d948df5e48 (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - ともさん» リクエストありがとうございます！確かに亜白隊長と絡んでない…今後番外編として書かせていただきます！ (2022年3月17日 18時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
とも - リクエストしたいです！亜白隊長との絡みを見てみたいです (2022年3月17日 17時) (レス) id: 3035439a9e (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます！これからも応援よろしくお願いします😭 (2022年2月19日 13時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さわ | 作成日時：2021年12月8日 16時
