19話 力になりたいと思うよ。(変更) ページ21
報告書は読んでいなかった。
読んだところで無意味だと思ったからこそ、本人から直接話を聞きに来たのだから。
「休み返上で来てよかった。いいモノも見せてもらったし。」
「他言無用やぞ、分かっとんのか。」
「さーどうだろ。鳴海には喋っちゃうかもな。」
「人間ってどこ殴ったら記憶消えるんかな。頭か。」
「やめて。」
紙の文字より、有意義だと思った。
肩の荷が少し軽くなった感じがした。久しぶりに顔を合わせた元同級生に、少しの懐かしさと安堵感を得た。
「聞かれたことは全部吐いたんや。カフカのこと、任せてええんやな。」
珍しく、と言うべきだろうか。
あまり見ない、彼の本心。それが、今は微かに見えた気がした。
「…うん。」
即答できないのは、私の弱さだ。
怪獣に対する嫌悪感を、未だ捨てられない、私の弱さ。
「大丈夫。人殺しになんてさせないよ。」
もしも彼が暴走したときは、彼の手が未だ綺麗なうちに、怪獣として殺してあげるよ。
そんなことを言えば、きっと彼は「怪獣言うな」と怒るのだろうな。
それもきっと、人情というやつなのかもしれない。
「保科。」
「なんや。」
その情は、想いは…あぁ、ダメだ。言葉が見つからない。本は幼少期に嫌という程沢山読んだのに、正しい言葉が見つからなかった。
「…私は、」
私は。
「…中学の頃、死んでた。」
「…今更何言うてん。」
「黙って聞けやどつくぞ。」
保科が好きだ。佐倉が好きだ。
憎しみ、哀しみ、怨み辛み、多大なる喪失感。
それを周りにぶつけて、もっと苦しくなって、またぶつける。終わらない負の連鎖に、いつも1人で泣いていた。
助けようとする人が来れば、怒りをぶつけて苦しくなるから、人の好意が苦手になった。
「…あの頃、ずっと近くに居てくれてさ。」
そこから助けてくれた、ぶつけた怒りを受け入れて、傍に居ようとしてくれた。ただただ優しくて、暖かくて、友達になってくれた2人がずっと大事で、大切に思っていて。
「…ありがとう。」
どうか、2人の力になりたいと思うよ。
ーさわの小言ー
感謝や愛情を上手く伝えられないけれど、どうにかして伝えたくて、これで合ってるのか、大丈夫なのか不安になりながらも必死に言葉を紡ぐ女の子大好きです。
それを全部分かった上で、ちゃんと言葉を聞いて優しく頷く男の子までが好き。
加筆ごめんなさい最新話見て書くっきゃねぇって勢いで付け足してしまった(え)
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さわ(プロフ) - すぶたさん» コメントありがとうございます!これかれも更新頑張ります! (2022年3月27日 9時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
すぶた(プロフ) - なんだこの面白すぎる作品は…!!続きが楽しみすぎて夜しか眠れない(‘ᾥ’)更新待ってます!! (2022年3月26日 0時) (レス) id: d948df5e48 (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - ともさん» リクエストありがとうございます!確かに亜白隊長と絡んでない…今後番外編として書かせていただきます! (2022年3月17日 18時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
とも - リクエストしたいです!亜白隊長との絡みを見てみたいです (2022年3月17日 17時) (レス) id: 3035439a9e (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします😭 (2022年2月19日 13時) (レス) id: 5409f31f4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さわ | 作成日時:2021年12月8日 16時