悪い男に出会う前。 (ページ8)

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8話ページ8

俺がスタジオを出て約1時間と10分

カフェで待つこと１時間。

クッションを投げて収まりかけたイライラも、再度戻ってきそうだ。

「仕事いつ終わるかとか言ってけよあいつ…」

コーヒーをもう何度おかわりしたかも忘れてしまった。

確かに、少し遅れても怒らないでやろうとは思ったけど

「さすがに１時間はなげぇな…。」

暇つぶしになにか持ってこればよかったな、と思っていたその時

カランと店のドアについている鈴みたいな物がいい音を立てて鳴った。

そしてそこから慌ただしく走ってくるA。

おしゃれな雰囲気なこのカフェには似合わないくらいボサボサな髪の毛

すごく急いでいたのが目に見えてわかるくらいあいつの身だしなみは最悪だ。

キョロキョロと店を見渡して、俺を見つけて急いで走ってくるA。

その姿はやっぱり、このカフェには似合わない姿だけど

俺のためにあんなに急いできたのかと思うと、悪い気はしなかった。