悪い男に出会う前。 (ページ5)

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５話ページ5

パサパサのクッキーを食べてから何ヶ月か経った今日はバレンタインデーだ。

外にはたくさんのペンが寒い中プレゼントを持って待っているのだろうか。

男なら誰でもウキウキとしてしまうこの日を俺はあまり好きじゃない。

「たくさんもらっても返しきれねぇ…」

ホワイトデーに返すのも大変なんだぞ←

はぁ、と深くため息をつきながら控え室に入ると

俺より先に控え室に入って準備をしてもらっているメンバーと準備をしているAが目に入る。

「あ！ヒチョル！おはよー」
衣装を選びながらヒラヒラと手を振るA。

そんなAを見て少しだけ気が楽になった。

「お前は、いつもお気楽そうだな」

「えー、そんなことないよー。いがいとなやんだりするよー？」

悩んだりする、とか言いながらニコニコと笑って話しているコイツ。

そんなコイツが抱え込むタイプだと知るのはまた別の話だったりもする。

「あ！そうそう、収録が終わったらね、ヒチョルにいいものあげちゃう！」

「いいもの？」

「そう！いいもの！」

「ふーん、楽しみにしといてやる。」

そう言ってガシガシとAの頭を撫でてソファに座ってケータイをいじる。

後ろで「なによえらそうにー！」
と言うAの声が聞こえるけどそんなのは気にしない

今の俺は顔がにやけていないだろうか。

顔に全神経を回すのにひっしだ。

いつもどうりの美しい俺だろうか。←

「収録おわんの楽しみとか…きめぇ…」

そうボソッとつぶやいた言葉はどうやら隣に座るヒョクチェに聞こえていたようで

ニヤニヤと笑うヒョクチェにあんまりにもむかついて

すねに1発ケリを入れて、「いったい！！ヒョン！痛いよ！！」と騒ぎ始めたヒョクチェの声に満足しながら

クッションへと顔を埋めた。