俺の彼女が毎朝変な起こし方をしてくる件について (ページ10)

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八日目の起こし方ページ10

〈芝健side〉

チャリーン…ジャラジャラジャラ…コロコロコロー…

朝から逢恋はおっちょこちょいで、小銭をぶちまけたようだ。(この音で起きる俺も俺だが)

結構な量落としたようなので拾うのを手伝おうとベッドを出る。

逢恋:「あ…、あ……」

芝:「うわぁぁぁぁぁぁ！」

逢恋だと思っていた人は、逢恋が変身したカオナシさんで、そのカオナシに下からライトが当たってとても不気味になっている。

いつもは空いているカーテンが閉まっていて暗いこともカオナシを一層不気味にしていた。

逢恋:「うっ……健、健を出せ……健を出せ…。さみしい……さみしい」

逢恋は声真似こそ苦手だが、演技はそこそこ上手いのでこんな状況でもグッときてしまう。

芝:「ほら、俺はここだよ？ここにいるから」

逢恋:「うっ…健欲しい…健欲しい……」

本来ならここで泥団子を食べさせるとこだが、シチュエーションに合わないポップな音楽が流れてきた。

そして、カオナシはノリノリで踊り出す。

この曲は…ハッピーシンセサイザか。
まさとが鬼の格好をして踊った時も笑ったが……

芝:「フッ…フハハハハ！」

カオナシにあの顔でまじまじと見られながら舞を披露されればこちらは耐えられない。

しかも逢恋は立ち踊りが得意なのだ。こんな軽快なカオナシを見たことはない。

俺は音の出処を探り曲を止める。

逢恋:「あ、止められた」

芝:「いや、普通に喋るんかい！今日は割と刺激の少ない起こし方で安心したよ…」

逢恋:「いやぁ、これでも私の感情を乗せた方で…」

芝:「そうなのか…？」

逢恋:「ほら、最近ありがたいことに健が練習三昧だったり一日撮影だったりで、あんまり二人でいる時間がないからすこーし寂しいなぁって…」

だからカオナシの「さみしい……さみしい」だったのか

芝:「ごめんね、逢恋」

逢恋:「ううん、私の都合で健のスケジュールに口出すことはできないもの。せめて朝だけでも健と楽しく…ね？」

芝:「そうだ、今度の日曜日はオフの予定だから久しぶりに一日2人で出かけようか？」

逢恋:「え、いいの？」

芝:「うん。逢恋の行きたいとこに行こう」

逢恋:「ありがとう！じゃあ、ここに行きたい！」

そう言って逢恋が指定したのは、静岡にある爬虫類と両生類専門の動物園だった…。
まぁ、俺は動物全般好きだからいいんだけどね？？

女の子っぽいとこじゃなくていいのがまた逢恋といて退屈しない一つの理由でもある。