二十七日目の起こし方 ページ30
〈芝健side〉
昨夜から続く荒れた天気で、雨戸がガタガタと揺れている。
(ﾌﾞﾙｯ！)
逢恋も寒いようで、彼女の身震いが背中を通じて伝わってくる。
うん、しゃーないしゃーない。これは、俺の為じゃなくて逢恋のためだから。俺が甘えたいだけじゃないから。
そう言い聞かせて、逢恋が少しでも温まるようにギュッとしてあげようと、(俺が甘えたいだけじゃないから！ほんとに！)寝返りを打って逢恋の方を振り返る。
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芝:「ぎゃぁぁぁぁぁ！出たぁぁぁぁぁ！」
逢恋:「わっ！健、叫ばんでよ！！びっくりしたじゃん…」
いや、だって振り返ったら彼女が能面つけてるんだぞ？そりゃビックリするに決まってるじゃん…
逢恋:「もっと困惑する健を見たい私の欲望により、第1回能面見分け大会を開催いたします！」
そういうと逢恋は何枚かお面を取り出して準備を始めた。
いやぁ、さすがにそんな種類あるわけ……
逢恋:「問題！コレはさっきの能面の女性より年上でしょうか？年下でしょうか？」
――――――いや何それー！？！？
年齢以前の問題で、果たしてこの２つのお面にどんな違いがあるかも見分けがつかない。
え、そんなに難しいの？
あっ、よく見たら少しだけ、すこーしだけ違うな。
髪の乱れ具合が。
芝:「ほぼ当てずっぽうでいくよ？こっちが年上だ！！」
逢恋:「ピンポンピンポーン！すっごい！何でわかったのー？」
芝:「何となく、髪がほつれてて年齢が上に見える…かな？」
逢恋:「着眼点も素晴らしいねぇ？1枚目の「小面」は15、16歳くらいの少女っていわれてて、2枚目の「若女」はそれより少し年上ってなってるんだけど…。少しの年齢差でそんな髪の乱れとか変わらんよねぇww」
だからなんでそんなに詳しいんだ！
一体逢恋の趣味が何個あるのか聞いてみたい。
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聞いてみたいとは言ったけど……
芝:「まさか彼女に能の公演を見に行こうって言われる日が来るとは思わなかったよ…！？」
逢恋:「いやぁ、だって少しだけ興味が湧いてきた風の顔してたからさぁ！だったら連れて行ったろー！と思って」
実際面白かったからいいのだけれどね？
でも、朝方少し薄暗い時に能面が目の前にあったらホラーよ？？
トイレ行く時とかじゃなくて本当に良かった……
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作者)トイレ行く時に見たら本当に失神します。
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作者名：わさび | 作成日時：2020年10月10日 23時
