二十五日目の起こし方 ページ28
〈芝健side〉
(ｼｭｯ！)
風を切る音が顔のすぐ上でしたのでゆっくりと目を開く。
視界にすぐ入ってきたのは俺の顔面スレスレを走る(壁に引っ付いている)弓矢だった。
ちょっと高さミスったら死んでたよ？俺…！
矢を掴んで壁から外しながら起き上がる。
少し苛立っていたため、すぐ逢恋に話をつけに行こうと立ち上がった瞬間…！
(ﾎﾞﾄｯ！)
！？！？
頭上から紙くずが落ちてきた。
これは巧妙な罠だ…。
見ると足元には踏むと上の装置と連動して紙くずを落とす仕組みが施されていた。
そのゴミを拾い、ドアノブに手をかけようとしたその時…
(ﾋﾟ-ﾝ！)
うぉっ！？
斬首されるとこだった…危ない危ない。
俺のちょうど首の高さ辺りにたこ糸が張ってあり、一瞬本当に首が飛ぶかと思った。
今日はさすがにやりすぎでは無いか？
(ガチャ)←ドアの開閉音
芝:「あの、逢恋さん？今日の起こし方はさすがに……って逢恋！？」
見ると逢恋は既に「くらった」後だったようで、頭には矢が刺さっていて血を流し、首には紐でしめられたようなミミズ腫れがあった。(まぁこれはメイクだし、仕掛けたのは間違いなく逢恋なのだが…)
逢恋:「申し訳ありません、健様。本来であればあの罠、私が全て食い止めなければいけないところ。私の身長が足らず、健様仕様の罠をくぐりぬけてしまいまして…」
逢恋が「ははっ！」と言わんばかりのお辞儀をするので笑ってしまいそうになる。
芝:「あれを仕掛けたのは逢恋でしょー？身長がどうって…」
逢恋:「それはねぇ…」
―――――――――――――――――――――――――――
逢恋:「まず起きて最初に目に入るこの矢。私が枕使ってれば私でも危ないんだけど、ほら私枕使わないじゃん？だから、回避。次にこの紙くずの仕掛けだけど、私の頭に達する前に変な方向にそれちゃうんだ。最後の斬首の紐は、身長よりも高い位置にあったからくぐれたの。この罠は全て健の身長を元に作ったからね〜」
芝:「だから、よくそんなこと思いつくね！？さっきまで怒ってたけどもう感心するしかないよ…」
逢恋:「えぇ、怒ってたのー？ごめんね…？」
芝:「いやぁ！そんな反省しなくていいんだけどね？？ただちょーっとだけ！ちょっとだけ過激やなって思っただけで…」
ちなみに逢恋の首についていた傷は本物で、むき出しになったテニスネットのワイヤーに突っ込んでったらしい…
いや、危なすぎん？みんなは気をつけようね？
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作者名：わさび | 作成日時：2020年10月10日 23時
