二十四日目の起こし方 ページ27
〈芝健side〉
(ｷﾗｯ)
目を瞑っていても分かる、太陽の眩しさと暖かさは起きて辺りを確認したい気持ちと、布団が振りまく誘惑に負けてしまうという矛盾を呼んでいた。
何とか体を起こし目をこすって辺りを見回すと、一輪の白い花が一際輝いていた。
チューリップか…なんでこんな時期に？
と思いつつもその凜とした姿に惹かれ触れようとしたその時…
芝:「えっ…？」
白色だったはずのチューリップは、みるみるうちに緑に染っていく。
あっけに取られ、ただその花を見つめる。
意識を戻す頃には淡い緑にまで変わっていた。
逢恋:「ねぇ、びっくりした？ビックリした！？」
芝:「うわぁ！って逢恋。何故ベッドの下から現れたのさ」
逢恋:「ふふっ！健の様子を伺うためだよー！私には魔法が使えてしまうのだ(ニヤ)」
そんなわけないのは十分すぎるほどわかっている。
でも、この花の色が変わっているのは事実だし…
芝:「逢恋さん、もしかして俺があくびをした隙に入れ替えた？」
逢恋:「えっ！入れ替えてないよ〜！ってか健そんなに大きなあくびしてたっけ」
芝:「いやーしてない！ww引っかからないかなぁって思っただけだよwww」
とからかいつつ答えを探し続ける。
.
.
.
芝:「逢恋！俺もうギブアップ！その魔法の秘密教えてもらおうかぁ」
逢恋:「しょうがないなぁ。健にも分かるように言語化してあげよう。実はこれとーっても簡単で、綿に緑色の着色料を染み込ませて、茎の切り口に当てるの。そして、それを今までにないくらいに強い力でギューッと握っていくと…」
逢恋は新しい花を取り出して種明かしをしてくれた。
その花も先程のように緑色に染まる。
逢恋:「ね、簡単でしょ？」
芝:「すごいなぁ…そんなこと思いつくなんて」
逢恋:「やだなぁ。小学生の自由研究の応用だよ。あっ、そういえば…」
芝:「ん？どうかした？」
逢恋:「健は、緑色のチューリップの花言葉って知ってる？」
芝:「いやー、実は花言葉そこまで詳しくないんよねぇwwリーダーなのに申し訳ないけど」
逢恋:「えぇ！うそー！少しガッカリだなぁ…。緑色のチューリップの花言葉はね……」
誰がいるわけでもないのに「コソッ」と耳打ちをする逢恋。
芝:「えっ……」
逢恋は俺の眼帯を外して微笑んだ。
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緑色のチューリップ
花言葉:「美しい瞳」
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作者名：わさび | 作成日時：2020年10月10日 23時
