十二日目の起こし方 ページ14
〈芝健side〉
突然だけど、みんなは古典的なお化け屋敷に行ったことある？
頭に三角のやつつけたお化けが出るようなやつ。
そういうお化け屋敷に行きすぎて慣れちゃったんだよね
そう、驚かなくなったの。
なったはずだったし、1時間前まではそう思ってたんだけど…。
――――――――――――――――――――――――――――――
(1時間前)
ピピピピッ ピピピピッ(目覚まし音)
よし、今日も逢恋が来る前に起きれたぞ…。
キッチンに行って脅かしてやろ笑
いつも起きてこない俺が起きてるって分かったら、なんて言うんだろうなぁ…
ワクワクしながら体を起こすと……
(ﾇﾒｯ…)
芝:「いやぁぁ！なに！？冷たっ！！………。え？」
俺の顔に当たったその物体は天井から糸で吊るされていた。
ちょうど俺が起き上がったら頬に当たる位置に。
しかも、今どきコンニャクなんて古いお化け屋敷でも使わないでしょ…。
久しぶりすぎて、こんなのにもビビったわ……
俺は丁寧に(？)天井からコンニャクを取り外し寝室から出た。
逢恋:「あぁ！健、おはよう！ちょうどコンニャク無いなぁ…と思って探しに行こうとしてたんだよ。ありがとう！」
コンニャク無いなぁって、逢恋が仕込んで俺の顔に当てたのよ。
忘れないでよ……
逢恋:「ほら、朝ご飯あと少しでできるから早く顔洗ってきて！」
俺は言われるがまま洗面所に向かった。
――――――――――――――――――――――――――――――
芝:「いただきます！」
逢恋:「はい、どうぞ〜！」
…あれ？これもしかして。
芝:「逢恋さ…、」
逢恋:「んー？」
芝:「さっきのコンニャクこのおでんに入れた？？」
朝からおでんなんておかしいと思ったのだ。
逢恋:「うん！そうだよ！本当は起きてコンニャクを見た時に、「あ、今日のご飯はおでんなんだ」って気づいてほしかったんだけどなぁ〜！」
それは先日の「ゆかり」ご飯よりハードルが高い。
逢恋:「そもそもコンニャクを使った料理あまり思いつかないし、私の中で「コンニャク」と言ったら、健がおでんの中で一番好きな具っていう風に勝手に変換されちゃうんだよねー」
逢恋はいつだって俺の事を一番に考えてくれる。
コンニャクを見ただけでも俺の事を思い出すなんて…
でもね、一つだけ俺のわがままを聞いてくれるなら…
おでんにトマトを入れないでくれ。
果物っぽい野菜苦手なの知ってるでしょ…？
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作者名：わさび | 作成日時：2020年10月10日 23時
