十一日目の起こし方 ページ13
〈芝健side〉
今日は逢恋が起こしに来る前に起きてしまった。
寝たフリで反応を見とこう
ｷｲ…(ドアの音)
やばっ、もう来た…
慌てて目を閉じる
ﾋﾀ…ﾋﾀ…ﾋﾀ……(足音)
そんなゆっくり来ないでもっと早く起こしに来ればいいのに。
逢恋:「あぁ、今日も健の寝顔が美しい…。健が今日も一日無事に生きて、無事に私の元に帰ってきますように。」
薄目でちらっと見ると窓から空を見上げて逢恋が手を合わせていた。
もしかしてこれ毎朝やってるのか…？
そりゃこんな静かに入ってこられたら気づかないわけだ。
逢恋:「よーし、今日の朝はどうしよっかなぁ」
起こし方の話だろうか。朝ごはんの話だろうか。
逢恋:「あ、違う。今日は絶対ベーコンエッグにするんだった」
絶対とは言い切るもんだな…と思うと同時に逢恋は部屋をあとにした。
キッチンで水の音が聞こえる。
朝ご飯の支度を始めるらしい。
そうだ、俺が起きる予定の時間まではまだ30分もある。
いつもこの時間で朝ご飯を準備してるのか…。
――――――――――――――――――――――――――――――
＜ｺｹｺｯｺ-!
なんだ！？にわとり？？
どうやら一度起きたものの俺は寝てしまっていたらしい。
しかも、にわとりの声で目覚めた。なんて古典的なんだろう……
そのにわとりさんはベッドの付近で羽をパタパタさせて「ｺ､ｺ､ｺ､ｺｹｰ！ｺ、ｺ、ｺ…」と鳴いている。
にわとりって屋内で飼えるんだっけ…？
逢恋:「あ、健おはよう」
芝:「おはよう。そのにわとりどうしたの…まさか買ったとかじゃぁ…」
逢恋:「まさか！知り合いの養鶏場の人に1羽だけお借りしたの」
このためだけにかい！？
とんだ行動力だ…
逢恋:「アニメで見て憧れてたんだー。にわとりの鳴き声で起きるの。しかも、この子さっき卵産んだんだよ！だから、今日はベーコンエッグにしようと思って」
だから「絶対」ベーコンエッグと言ったのか…
よく近くで見るとにわとりも可愛いもんだな…
ん？
芝:「どうしたの、そんな涙目で？」
逢恋:「私、アレルギーで毛の生えた動物触ると目痒くなるの忘れてた……」
あ、そうか。
羽毛もダメなんだったな…
芝:「この子、俺が返してこようか。また抱えていくの辛いでしょ？」
逢恋:「うぅ…ごめんねぇ健…」
この後俺と逢恋はそれぞれ鼻炎と結膜炎に悩まされた。
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作者名：わさび | 作成日時：2020年10月10日 23時
