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#嘘9 ページ10

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ひとつ、彼は朝の目覚めが悪く機嫌が悪かった。
ふたつ、私は睡眠が上手くとれず機嫌が悪かった。
みっつ、私がコーヒーのためのお湯を沸かしていたのを彼が奪った。
たった、これだけ。



これだけなのにね。




それが喧嘩に発展して、
どんな言葉が吐かれたのか知らない。覚えてない。
かなり汚い言葉が飛び舞って、酷く傷ついたことだけ。




そんな事実だけ覚えてる。




気づけば私の頬は濡れていて、気づけば脚は動いていた。



引き止めるような言葉を無視して、私は悟の元に向かっていた。



「もう、嫌。ねぇ悟、私の心を満たして。彼じゃ絶対に、埋まらないの」



分かっていたことだった。私は壊れている。
1人の男の愛じゃ物足りないと思ってしまうのだ。




「駄目に決まってるだろ。まず、落ち着けよ」



悟のしっかりとした拒否に崩れて、泣き喚いた。

普段はしない口調に驚いてもいた。




何も考えられないようにしてほしい。
何も思えないぐらいにして欲しかった。




「ねぇ、A。僕ね、本当に君が好きなんだ」



好きなら助けてよ、嘘つき。



「傷つけたくない。後悔して欲しくないから」



いつも撫でてくれる彼の手より華奢な手が頬にずっと吸い付いていた。






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わらび餅のお兄ちゃん - とても面白く、楽しませていただきました。完結お疲れさまです。 (2021年7月21日 9時) (レス) id: 720510a825 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れもんのティー | 作成日時:2021年7月20日 18時

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