How to save a life (ページ3)

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ーAsideー
目覚ましに起こされて、目を開ける。隣にいつもの温もりがないから何となく気付いていたけれど

『徹夜・・・？』

私に問いかけに答える人はおらず、部屋は静寂のままだった。ふと、その静けさに寂しくなったのと同時だった

『！』

急激な吐き気に襲われて、寝室を飛び出してトイレに駆け込む。

『おえっ！』

吐き気が止まらず、気持ち悪いけど、昨日もこの吐き気のせいで食事を摂れてないから、胃の中は空っぽだ。

5分程度すると吐き気も一段落して収まった・・・ような気がする。

『はぁ・・・』

自分が情けなくて、もうため息しか出ない。

ー翔北 ICUー
仕事をしている間は何故か吐き気も軽くなって、つくづく、自分は仕事人間なのだと実感する。

『おはようございます』

昨日オペをした患者さんに挨拶をして、創部をチェックして、聴診器で心音を聴診する。

『(弁の逆流もない、大丈夫ね)』

『午前中に心エコーと心電図の検査をして、問題がなければ一般病棟に移りましょう。』

患者「ありがとうございます、先生」

回診を終えて、ICUを出た所で耕作と出くわす。

あの七夕の夜以来、会うのを避けてたからか気まずい。

「この前は悪かった。今時間あるか？」

私が逃げないように、向かい合って立つ耕作

素直にならなきゃいけないと分かっているのに、意地になって、目を合わせられない。

『・・・ない。私、この後、外来があるから』

そう言って耕作の横を通り過ぎてタイミングよく来たエレベーターに乗り込んだ

・・・はずだった

扉が閉まる寸前に、耕作も乗り込んで来た。

藤「あっ！藍沢！！1013の木村さんの事だけど」

耕作に話し掛けながら一緒に乗り込もうとした藤川先生に対して

「後にしてくれ」

そう言って、閉のボタンを押してしまった。

藤川先生の目の前で扉が閉まる。

『良いの？患者の事だったんじゃない？』

沈黙が怖かったのか、彼をエレベーターから降ろすきっかけを作りたかったのかつい私から話し掛けてしまった。

「問題ない。今はお前の事が優先だ。」

ーエレベーターの両端で向かい合う私たちー

そのセリフはもっと前に聞きたかったよ。

『その青いスクラブ、救命に戻ったの？』

「ああ。トロント大に行くための症例数を稼ぎたい。何か話があるんじゃなかったのか？」

チンとエレベーターが私に目的階に着いた事を知らせた。

今しかないー直感でそう思った。

『わたし・・・妊娠した。』