How to save a life (ページ15)

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『よし。

人工心肺フローダウン、バックアップ』

開心オペで人工心肺を使用する時に最も緊張するのが、この離脱の瞬間

人工心肺を止めて、心臓が再鼓動するまで心臓外科医は一心に心臓を見つける。

『……』

「……」

ドックンドックン！

Ns「15:27 再鼓動です！」

良かった、智花ちゃん。

『生食で洗浄して、閉胸します』

戸瀬「よ～し、部屋の温度上げて～。この子、抜管して ICUに帰すぞ～」

閉胸は問題なく終わった

『終刀です、ありがとうございました。』

Ns. ME「お疲れ様でした！」

ガウンと手袋を脱いで、ゴミ箱に入れて手術室を出る。

手術室を出て、智花ちゃんのご両親を見つけた。

『お待たせしました。今手術が終わって、これから麻酔から醒ますところです。』

「先生、智花は…？」

手術は成功しました。わたしはオペが終わった後に「成功した」という言葉は絶対に使わない。

成功するか、失敗するか二者択一の賭けを患者でした訳ではないから。自分なら必ず出来ると思って、どのオペにも臨む。

自分で計画したオペを予定通りに終わらせた

それだけの話だ

『手術は予定通りに終わりました。

人工弁は使わずに、生体弁、もともと智花ちゃんの体にあった弁を再利用しているので、再手術の可能性もありません。

定期的に通院して経過を診ていきます。』

「ありがとうございます！

本当に智花を助けてくれて、ありがとうございます！！」

ー ICU ー

術着からスクラブに着替えて、ICUに入る。

『どんな感じ？』

タイミングよくバイタルを測ってくれているNsに声をかける。

Ns「血圧も心拍数も安定しています。
尿量も目標値をクリアできてます。」

良かった、心臓が正常に機能してる証だ。

「お疲れ」

智花ちゃんのベッドの側に立っていると、いつに間に来ていたのか耕作が隣に立っていた。

『ありがと。そっちもお疲れ様。

今日はヘリ担当だったんだ？』

「ああ。」

『白車(救急車)の中で、開胸してバルーンで止血したんだって？さっき心外の医局で話題になってた。』

「…さすがに白車の中では縫えないからな。
こっちに戻ってからの処置は心外のDrに頼んだ。」

『そうなんだ。心臓外科医は白車の中で開胸なんてほとんどしないから……面白そう』

「相変わらずだな。

今日は帰れそうか？」