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スクラブから私服に着替えて、ロッカーを出る。
救命の前を通り過ぎる時に チラッとスタッフステーションに目をやるけど、彼の姿はなかった。
『(今日は当直じゃないと思ったけど。……仕方ないか』
今日中に耕作に会うのは 諦めて、エレベーターに乗る。
扉が閉まりかけた その時だった
『わっ！ びっくりした、耕作』
「A…！」
慌てて乗り込んで来たのは 耕作で、向こうも乗っているのが わたしだと思っていなかったのか 少し驚いた表情をしてる
『お疲れ様』
「ああ、お疲れ」
互いに言葉が続かない
端にいた 耕作に隣に並んでみる。
「？」
『あのね、もし わたしが産みたいって言ったら、どうする？』
「…A」
『散々 迷っといて 何だよって思うかも しれないけど、わたし この子を産みたい。』
「ああ」
ぶっきら棒な 短い返事だけど、わたしは十分に耕作の愛を感じた。
だって、ほら その証拠に 耕作の左腕がわたしの肩に回って 抱き寄せられてる。
『ねえ？ わたしの事 あいしてる？』
今まで こんな質問した事ないのに
「ああ」
『わたしのお腹が大きくなって、ちょっと我儘になっても？ 』
「ああ。」
思わず 顔に笑みが溢れる。
エレベーターが着いて、2人で 手を繋いで降りた。
ー翌朝 翔陽大附属北部病院 ICU ー
『おはよう』
「おはようございます」
『顔色が良くて 安心した。
どう？ あれから気持ちは変わった？』
わたしは 智花ちゃんの前に立った。
両親との気持ちのすれ違いも解消できた。
「手術は・・・受ける。
怖いけど、受けます。A先生……」
『よく決断してくれたね。』
「 ……今回の手術も含めて 私 何回ぐらい手術受ける事になりそう？」
人工弁で置換すれば その弁の寿命が来る度に再手術になる。現在の弁では どうしようもない…けど
『今回のを含めて………何回かは断言できない、ごめんね』
「大丈夫です。明日はよろしくお願いします」
智花ちゃんの手術日は明日
胸痛発作時に 失神もしてるから 病状としては予断を許さない。
大動脈弁の強度の狭窄で オペの難易度は高い。
でも、上手くやれる自信がある。
そのために腕を磨いて 努力をしてきたんだから
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作者名：water lily
| 作成日時：2017年10月14日 23時
