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キャリアウーマン 子ども
彼女の母親の姿が 今の自分と重なった。
「念願の子どもだったのに 産んでみたら こんなに体の弱い娘で………よく体調不良で学校から呼び出されて 仕事置いて 駆け付けて……
産んで 子どもに楽させてもらえると思ったら 苦労ばっかりじゃん、お父さんとお母さん。
A先生 大動脈弁取り替えても 数十年後には また手術しないといけないんでしょ？」
彼女の言う通りだ ー 大動脈置換術 機能しなくなっ弁を人工弁に取り替えて 心機能を回復させる
ただ人工弁には寿命がある。
20年も経てば 再び弁置換術必要になる。彼女はそれを知っていたのね
「私まだ 18なのに……何回も手術してたら 親孝行できないよ。
だったら、早く死んだ方がお父さんとお母さん…楽できるでしょ？」
ー現在ー
「手術を受けるように説得します！」
内田さんの母親が私の手を 握って 涙ながらに訴える。
「お前は あの子の気持ちを考えろ！」
寡黙な父親が声を上げた。
「無理に手術を受けさせて、それで 死ぬまで あの子に恨まれるんだぞ！！」
「恨まれたって構わない！！
恨む事が出来るのは あの子が生きていればこそよ」
夫婦のやり取りを聞いて、子どもへの愛の深さを知る。
私と耕作は この子の為に ここまで言えるだろうか？
視線を上げると 耕作と目が合った。
「子どもを産めば、今では想像も付かないような苦労だってするかもしれない。
俺もお前も どうすれば良いか分からず、途方に暮れる事だってあると思う。
それでも、俺はお前となら その苦難を乗り越えられると思う。」
昨日 産むのを躊躇う わたしに そう言ってくれた。
ああ、親ってこういう事なんだね。
『内田さん、先ほど 智花さんがおしゃっていた事をそのまま伝えます。』
初療室で 智花ちゃんが語ってくれた気持ちを両親に伝えた。
「智花……！」
ICUに向かう両親の背中を見送って ゆっくりと ICUに足を踏み入れた。
「子どもが余計な事考えなくて良いの！
親はね、子どもに何かしてもらおう なんて思ってないの！
生きていてさえ くれれば良いのよ」
母親に抱き締められる智花ちゃんは 泣きじゃくっていたけど、嬉しそうだった。
それを本当に嬉しそうに父親が見守っている。
この親子を見ていて 決心が着いた
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作者名：water lily
| 作成日時：2017年10月14日 23時
