second house 8

本音 ページ24

シヌさんがあのまま黙っているなんて思わなかった。


だからいつか動いたその時の為に、少しでもやりやすいように事務所との契約を解除までさせて決定権を全て奪った。


でもまさかここまでするなんて。

ヒチョルだけに気をとられ過ぎていた。



SI「今自分がどういう状況かわかってますか？」

「特に問題はないですけど」

SI「問題はない……それ本気で言ってますか？」



この顔は本気だ。

いつもの説教するときとは違う。



SI「あなたが今どれ程不安定か、私が気付かないとでも思ってるんですか？」

「気付いてもそれを見て見ぬふりをするのがシヌさんでしょ」

SI「今まではそれがあなたの為になると思ったからです。ですが………今回ばかりはそうもいきません」



シヌさんの表情が少しずつ変わる。

何でそんな顔するの？

そんな顔、私に向けてほしくない。



SI「私は………俺はただお前に好きに生きてほしいだけなんだよ」



いつもの強さも冷静さもない、まるで懇願するかのように表情を歪ませた。



SI「本当はもっと早くにアメリカに帰すつもりだった。ここに閉じ込められる前になんとかしたかった」



そう言って私に背を向けソファーに向かった。

そして天を仰ぐかのようにそこに沈んだ。



SI「なのにお前ときたら、俺の想像を越えるようなことばかり起こす。その対処に追われることに疲弊しながらも、充実感があった。楽しかったんだよ毎日が」

「シヌさん……………」

SI「だからこんなになるまでお前を追い込んでしまった」

「私は追い込まれてなんかない。好きに生きてるよ」

SI「じゃあ何故踊らない？」

「踊ってるよ。毎日事務所にいるのわかってるでしょ」

SI「お前がこっちに来て踊ったのはたった一度だけだ」

「ちょっとシヌさん、私の話聞いてる？来てからずっと踊ってるって言ってるでしょ」





SI「"baby don't cry"………お前が踊ったのはあの一度だけだ」





baby don't cry

私がジョンインの為に作った曲。

自分への戒めの為に書いた歌詞。




そしてそれを思いのままに踊ったのはあの時だ。

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