96. 私の知らない話 ページ6
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二宮「着いたよ。」
結局、車内は静まり返ったまま。
気づいた時にはもう学校に到着してた。
私を先に車から降ろして、時間差で出てきた先生と教室で合流する。
二宮「行くか。」
「…はい。」
私にはそう答えるのがやっとで。
なんて事ない顔して、堂々と廊下を歩く先生の背中を追いかけた。
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この校舎に初めて足を踏み入れた時は、校長室に入るなんて思ってもみなかった。
二宮「お前は俺の隣にいるだけでいーから。」
重そうなドアの前に、先生と2人並んで立って。
"はい" としか言えない私に "大丈夫だから" と言うみたいに、頭にポンと手を置いた。
二宮「…入るよ。」
先生の手がドアをノックして。
"どうぞ" と返ってくる野太い声に "失礼します" と続けたら、ドアノブを捻った。
校長「おう、久しぶりだな。」
二宮「昨日、こちらに戻りました。」
初めて見る、生徒の前では見せない顔。
いつも舞台の上で話してる校長先生しか、私は知らない。
校長「で、早速連れて来たわけか。」
二宮「はい。」
私の存在をないものとしてたのに、急にチラッと視線を向けられる。
でもその視線は一瞬で二宮先生に戻って。
無言の圧と重たい空気が、呼吸をするのも許されないみたいに苦しくする。
校長「じゃあ、"過去の忘れ物" を取り戻した上で来たんだな？」
二宮「はい。」
私の知らない二宮先生が隣にいて。
私には分からない話が繰り広げられてる。
二宮「私が過去に忘れて来たのは…母親ですよね。」
……母親？
校長「嗚呼…、…話せたか？」
二宮「まぁ、はい。」
そういえば二宮先生のお母さんの事、何も知らない。
先生はお母さんに会いに福岡まで行ったの？
それが "過去の忘れ物" ってやつに関係するの？
校長「…元気にしてたか。」
二宮「はい。」
私だけがついていけない話に。
ここにいていいのかな、なんて思ってたら。
校長「分かった。
では、次。……蒼井さんだよね。」
急に話を振られたから、体が凍りついたように動けなくなって。
二宮「A？」
「…っ、はい。」
二宮先生に名前を呼ばれて、返事をするのがやっとだった。
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卯奈(プロフ) - キュンキュンして微笑ましいお話でした。とても面白かったです！だけど潤くんはどうなったのですかね？ (2018年4月7日 23時) (
レス) id: 2ee62e6d6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ame | 作成日時：2017年2月9日 14時
