91. 春の訪れと ページ1
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「……ぇ」
真っ暗な画面を慌ててつければ、LINEの通知がひとつ。
−−−…櫻井先生から。
びっくりするぐらい短いけど。
驚きのあまり息をするのも忘れるほどの内容。
−− ニノに会ったよ
……二宮先生。
−−−…会ったって事は。
もう東京のどこかにいるって事だよね？
じゃあ、何で私のLINEは返してくれないんですか？
−− 智くんの言う通り、ちゃんと帰ってきたな (笑)
私の返事を待たずに、またポンとメッセージが浮かび上がったそれに。
何ひとつ返事を返せないまま。
真っ暗な画面に戻した。
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−−−…さっき、浅い眠りの中でみてた夢。
二宮先生が東京に帰ってきて。
先生の「ただいま」に、涙でぐちゃぐちゃになった酷い顔で「おかえり」って返す私。
リアルなのに現実味のない夢。
「……」
カーテンの隙間から射す、月明かりに誘われるように窓を開けて。
大きく息を吸い込んだら。
まだ微かに残る冬の寒さに襲われる。
「……さむっ。」
−−−…二宮先生。
星が綺麗です。
先生も同じ空、見上げてますか？
風がちょっとだけ冷たいです。
先生…。
春が来ましたね。
？「なに黄昏てんだよ。」
キラキラと輝く星空を見上げて二宮先生の白衣姿を思い浮かべてたら。
下から愛しい人の声がした。
「…ぇ、…二宮、先生…」
いや…、…違う。
きっと二宮先生の事考え過ぎて、幻覚が見えるようになっちゃったんだ。
おまけに幻聴まで聞こえる。
二宮「聞こえてんだろ、おい。」
「−−−…ぇ、…ほん、もの？」
ほんとのほんとに、本物？
二宮「…本物だけど？」
「嘘でしょ…」
二宮「もっと近くに来て、自分で確かめてみれば？」
「…っ、」
半年前と変わらない悪い顔で笑った先生の言葉を聞くなり、部屋を飛び出して。
転げ落ちそうになりながら階段を駆け下りる。
久しぶりに見た先生は、半年前の先生よりやっぱりちょっと痩せてて。
怠そうに私を見上げてた。
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.
「…っ、先生っ！」
ドアの外に思い切り飛び出て。
コンクリートの壁に凭れ掛かってる先生に向かって走り出せば。
ふっと体を壁から離す先生に抱きついた。
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卯奈(プロフ) - キュンキュンして微笑ましいお話でした。とても面白かったです！だけど潤くんはどうなったのですかね？ (2018年4月7日 23時) (
レス) id: 2ee62e6d6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ame | 作成日時：2017年2月9日 14時
