＿君色＿工藤大輝＿

23話＿愛しく思う ページ26

大輝side






ザーーーー






外はもう雨か。







無意識に雨が降る外へ1歩、２歩と進んだ。







楽屋にいる時、沢山のファンから心配の言葉がきた。






こんなに心配されるのは、この仕事柄があるからかもしれない。







でも、怪我をしてここまで気持ちが落ち込むのもまた、この仕事柄があるから。





もう若くないのはわかってる。


ツアーがまだ控えてるのもわかってる。






大「…………何やってんだろ、俺。」





100%のパフォーマンスを届けられない事への焦りと辛さは思ったより精神面にくるものがある









・







体の全てに雨が当たった





このまま全部投げ出してどこかに逃げてしまいたい。


反射的に、そう思った。









・









・









突然、雨が当たらなくなった。








『……風邪、引きますよ。』









・








一瞬、空耳かと思った。







でも、隣に俺に傘を傾けながら立ってるのは確かにAちゃんだった。








大「なんか、もうなんでもよくなっちゃってね。



Aちゃんこそ風邪引くから戻りなよ。」






あまりこんな所は見られたくなくてあえて突き放した。




でも、Aちゃんは1歩も動かないで、話し出す。



貴「……これは私の独り言ですが、



大輝さんがそこまで罪悪感を持つのは間違ってると思います。」






大「どういうこと。」





貴「要するに、大輝さんはいてくれたらいいんです。



ファンにとっては今の舞台にたってくれるだけで幸せになれるんです。

これからDa-iCEはもっと売れていくんですから、捻挫くらいただの通過点ですよ。」





彼女なりに一生懸命励まそうとしてくれてるのが何となくわかった






大「……ふっ……笑



励まし方不器用すぎ………」




貴「ちょ、それ言わないで下さい！

思ってる事言葉にするの苦手なんです！」





大「いや十分だよ、ありがとう。


…落ち込んでらんないよね。まだ先長いのに。」






逃げ出したいという気持ちは、なくなった。



頑張って俺に元気になってもらいたいと思って試行錯誤してるAちゃんを想像すると愛しくてしょうがない。





でも。






大「あの、さ、目のやり場に、困る……/////」


気がつけば服が透けて下着が若干見えていた







貴「………いやあああああ！？/////」

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