21 fk side ページ21
俺の活動休止前最後のYouTubeがアップされた翌日、抗がん剤治療が始まった。
鮮やかなオレンジ色の液体が、袋にいれられて、点滴棒でつり上げられている。それがぽたぽたと落ちて、俺の体に入ってくる。
このふざけた色の液体が、俺の血液の隅々まで行き渡り、俺の血中の細胞を全滅させる。
６時になると夕飯が運ばれてくる。病院食は、いろいろ工夫されているのはわかるが、美味しいものではない。
味だけじゃない。１人の食事がこんなに味気ないものだったなんて。
無音のテレビは最近はニュースばかりを流している。少し前までバラエティーなどもみていたけれど、活躍する先輩方や時には仲間を見つけてしまい、どうしようもなく寂しくなるので避けるようになった。
もう何度目かわからないため息をついた。覚悟は決めたはずなのに。こうして１人になると、どうしても自分の不幸を恨まずにいられなかった。
ふと、お盆の上に何かが落ちた。それを認識できなくて、じっと見つめた。髪の毛だった。頭に手をやり、軽く撫でると、ぱさぱさと髪がさらに抜けた。髪を掴んで引っ張ると、ごっそりと手の中に抜けた。
鏡の前に立つと、右の側面の髪がきれいに無くなっていた。
抗がん剤の副作用だ。
覚悟はしていたけれど、実際に不格好にはげた自分を見るのは衝撃だった。
情けなさが込み上げて目をしばたいた。ぱらりと洗面台に短い毛が落ちた。睫毛だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さつき(プロフ) - え、本業の方ですか！そんな風に思っていただけて、光栄です！第二章、只今下書き中ですが、よろしくお願いします！ (2020年1月4日 18時) (
レス) id: a5fa39ca26 (このIDを非表示/違反報告)
たま。(プロフ) - 最終話お疲れ様でした、治療についてとかとてもお詳しくてもしや同業者？とおもいながら見てました。この作品のiwfkの関係性とかfkの儚いのに芯の強さとかとても好きです。第二章も楽しみにしています。 (2020年1月4日 17時) (レス) id: 40879e0535 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - 凸凹さん» 素敵だなんてありがとうございます！これからも楽しんでもらえるよう、更新頑張りますのでよろしくお願いします！ (2020年1月1日 21時) (レス) id: a5fa39ca26 (このIDを非表示/違反報告)
凸凹(プロフ) - 初めましてコメント失礼します。 素敵なお話を本当にありがとうございます。これからも更新楽しみにしています！(^^) (2020年1月1日 21時) (レス) id: 0a32a9f83c (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - だてなべ0122さん» あああ！本当ですね、しかも再確認したら他にも漢字間違えあったので修正させていただきました。私としたことが、、、ご指摘ありがとうございます！！こんな見苦しい作品ですがこれからも閲覧していただけると嬉しいです_(._.)_ (2019年12月30日 20時) (レス) id: a5fa39ca26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さつき | 作成日時：2019年11月21日 20時
