虚4 ページ6
残った日々はあっという間に過ぎていく。
彩音は雪羅に言霊を使って短刀を痛めつけるようになったし、雪羅は言霊を使われていないときはいつも通りだった。
まるで操られている時の記憶がないのではないかと思うほどに変わらないため、他の刀剣たちが雪羅から距離をとる中、左文字兄弟やおだて組などは比較的好意的に接していた。
ああ、このまま今日が終わって見習い期間の終わりとともに雪羅は帰っていくのか。
また、前と同じように手入れもされず、休むことも許されないブラック本丸になるのか。
日に日に重くなっていく本丸内の空気だったが、なにも気にしない雪羅は今日も明るく飛び回る。
刀剣たちの諦めがカンストした雪羅が帰るその日の朝。
目覚まし代わりに響いたのは少年の叫び声だった。
「や、やめ、……いやだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
その叫び声に飛び起きた何振りかの刀剣が慌てて声のする方へ駆けつけるとそこには
床に転がった小さな瓶とビクビクと痙攣している雪羅
そして憎悪と興奮の入り混じった目を雪羅に向けている彩音の姿があった。
「まったくもう！
このクスリを調べるためだけに来ただなんて面白くない！
雪羅くんとはもっと仲良くなれると思ったのに！」
あははッ！と楽しそうに笑う彩音は雪羅の胸ぐらを掴んで持ち上げ、そして刀剣たちに投げつけた。
「広間まで運んで」
簡潔にそう言い放った彩音は振り向かない。
その頭の中はもうすでに雪羅や刀剣たちで戯ぶことでいっぱいだったから。
そう、彼女は知らない。
知らなくていい。
ずっと握り締めていた手提げ袋から小刀を取り出した少年の存在なんて。
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合歓木(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます！応援してもらえて嬉しいです！ (2017年4月20日 20時) (
レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - おもしろかった！これからも、応援してますね！ (2017年4月20日 20時) (レス) id: 8088c38295 (このIDを非表示/違反報告)
合歓木(プロフ) - 晋陽さん» そう言ってもらえて嬉しいです！応援ありがとうございます！ (2017年4月18日 0時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ここまで一気読みしてしまいました！とっても面白いです！これからも応援しています！ (2017年4月17日 23時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
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