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願い9 ページ11

in広間


長曽根たちが戻ってきたが、堀川はいない。
どういうことかと混乱する。


「連れてこれなくてすまないな。
堀川は…………記憶喪失だ。
俺の事も、和泉守のことも覚えてなかったし、酷く怯えていた。
誰が行っても同じだとは思うが、短刀が行ってみるのが1番だと思う」


その報告は衝撃的で。
新撰組で仲が良かった者や、国広派はすごく戸惑っていた。


「おいおい、本当かよ旦那。
そうなら、俺っちは行きたいぜ」


「あ、あの、僕も行ってみたいです……」


「じゃあ、あんまり大人数で行くのも負担になるだろうから、2人に頼んでもいいな?」


任せろ、と笑顔で言う薬研は頼もしかった。



それじゃ、早速行ってくるぜ。
と部屋を出て行こうとする2人を燭台切が止める。


「ちょっと待っててくれるかな?
昼餉を持っていってもらいたいんだよね」


もうそんな時間か、と歌仙も一緒に厨に向かう。



程なくしてお粥を持った薬研と、自分たちの分の昼餉を持った五虎退が手入れ部屋に着いた。


中の様子を伺っていると、
時折「……兄弟」という声が聞こえてくる。

折られたのだろうか?それとも折ったのか。

そんな考えを振り払うように明るく部屋に入る。


「堀川の旦那!
俺っちは薬研藤四郎だ。こっちの虎を連れてるのが五虎退だ。兄弟共々よろしく頼むぜ」


「あ、あの、五虎退です。
お昼を持ってきたので、一緒に食べませんか?」


思いっきり警戒されているが、食べる気にはなったようだった。


「……ありがとうございます」



目は決して合わせずに、ビクビクしながら器を受け取る堀川。


その様子に悲しくなりながらも食べ始める2人。



重い沈黙に耐えきれなくなった五虎退が意を決して話しかける。


「ほ、堀川さん!
後で僕達と一緒に遊びませんか?
鬼ごっこしたり、隠れんぼしたり、
外に出るのが嫌だったら、折り紙でもしませんか!?」


薬研は驚きすぎて箸を落とした。


堀川はと言うと、諦めたような眼をしていた。



「……遊ぶ?僕と?何をしてですか?



ボールの代わりに蹴りますか?
それとも腕に火を押しつけてどこまで我慢できるか試しますか?
それとも兄弟に僕のことを切らせますか?」



薬研たちの想像以上のことを言われて絶句する。


「そ、そんなこと俺っちたちはしないぜ!?
ここに来たんだから、堀川の旦那は家族だ!
家族にそんなことをする訳ないだろ?」


「でも、あいつらもそう言いましたよ?
家族だって」

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紗月(プロフ) - 時雨さん» いえ、わざわざありがとうございます! (2016年12月18日 1時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - …って、もう解決してたみたいですね。なんか、本当にすみませんでした(汗) (2016年12月18日 1時) (レス) id: 9df64bfe3b (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 紗月さん» 黒真さんじゃなくてすみません。山伏の一人称は「拙僧」ですよ! (2016年12月18日 1時) (レス) id: 9df64bfe3b (このIDを非表示/違反報告)
紗月(プロフ) - すいません!山伏さんの一人称ってなんでしたか? (2016年10月5日 15時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
黒真 - 山伏さんが昼餉を取りに行ったんですよね?だとしたら一人称が違いますよ (2016年10月5日 15時) (レス) id: 6f04cd4e51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:合歓木 | 作成日時:2016年8月27日 2時

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