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市野なな ページ8

石切丸side







毎晩、丑の刻になるとこの本丸の一部屋だけ知らない人間の霊力が漂う。








その始まりがいつだったかは思い出せないが、少なくとも数年間続いたその現象に私たち神剣が気にすることはもう無くなっていた。








のだが。








ゾワリ、と肌が泡立ち、反射的に枕元に置いてあった刀掛けから本体をとる。









ただ、部屋の中に漂っていただけの霊力が形を持って何かを成そうとしているのを感じたからだ。









何をするかは分からない。








だが、今、この本丸で何かが起こるのは避けたかった。







問題の粟田口の部屋へと足音も気にせずに走り、向かう。









「悪いけど入るよ」








簡潔に告げたその一言より遅れること一拍。








開け放たれた障子の先には変わった様子は無かったが、偵察の低い私でもわかるガタッという音が部屋の奥からした。









スリ、と自分の足裏が畳に擦れる音が嫌に大きい。









そして、音の発生源が何かを確かめるために、部屋の左奥、









鏡やら文机やらの置かれた一角の前で立ち止まった。









全身鏡は私を写し、そして新たに入ってきた物も映し出す。









「石切丸ッ!
何かあったのかい!?」









そう叫びながら入ってきたにっかり青江のせいで粟田口が何振りか起きたようで、何事かと目を見開きながら私と青江を交互に見つめている。







私は青江の質問には答えず、起きた粟田口の二振り、薬研藤四郎と前田藤四郎に問いかけた。









「何かおかしなところはあるかい?」








この状況についていけないのか、首をかしげながらも部屋を見回し、自分を見て、そして両者の反応が分かれる。








「いや、特にないが……」









どうした?と逆に質問を返してくる薬研と、








「傷、が」








呆然とした顔で自分を見下ろす平野。









それで、何があったか全て分かった。









「青江、すぐに動ける物を広間に集めよう。
誰かがこの部屋に侵入した」









「……分かった、石切丸は三条の面々を頼むよ」









まだぼうっとしている平野の肩を叩き、薬研の方を見やる。








彼は、私の意図を察したのか、任せろと言って兄弟達を起こし始めた。









私も同派の物たちを起こすために部屋を出ようとして、一瞬だけ物言わぬ鏡を見やった。

1のハチ→←1の六



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灰雪(プロフ) - 壬卯兎さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!とうらぶ小説一緒に増やしましょう!更新頑張らせて頂きます! (2017年12月14日 20時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
壬卯兎 - 面白いです!なんかもう、書き方から何まで凄く参考になります…これからも頑張ってください!&私もとうらぶ書いてるので一緒にがんばりましょう!更新楽しみにしています! (2017年12月14日 8時) (レス) id: 1ea793e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 苺パフェさん» ありがとうございます!狭いジャンルなので初めて読むと言われると嬉しいです!更新頑張らせて頂きます! (2017年12月12日 22時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - 面白かったです!初めて読むタイプの作品でした。大変でしょうが、続きがめっちゃ気になるので、更新、頑張ってください! (2017年12月12日 21時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 銀色ミカンさん» 応援ありがとうございます!更新頑張らせて頂きます! (2017年12月12日 19時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灰雪 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年10月10日 11時

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