市野さん ページ4
金糸雀side
草木も眠る丑三つ時。
じいちゃんがくれると書いてあった本を部屋に運んだ俺は、昼間にぐっすりと寝て、夜中の12時くらいからずっと読みふけっていた。
そして、指定された時間の五分前。
両親ともに眠りは深いが用心に用心を重ねて忍び足で階段を降りる。
ミシ、と時折鳴る高い音にビクビクしながら普段の倍以上の時間をかけて祖父の部屋に着いた。
2時まであと3分。
小さい電気をつけて部屋が朧げに見えるようになる。
2時まであと2分。
さっき読んだ霊力の使い方という本の内容を思い返した。
2時まであと1分。
じいちゃんのしわくちゃの手が撫でる感触を思い出した。
2時まであと0分。
部屋の空気が、変わった。
真冬のシンとした空気を虫の鳴く声が侵食する。
どこだ、どこから聞こえる？
季節をまたいだこの音はなんだ？
ぐるりと見回し、音の発生源を探る。
そして、パッと目にとまった、扉の閉められた鏡台に近づく。
これ、だ。
多分、きっと、
いや、違う。
これこそが、音の発生源で違和感の原因だ。
パチン、と留め金を外す。
しばらく使われていなかったからか、ぎこちない動きで扉が開いた。
三面鏡の両側２つが俺のいる部屋をうつしだす。
が、真ん中の１つに俺の姿は写らない。
ここと同じ和室。
だが、部屋の中央には敷布団が二枚敷かれていて、誰かがいることを証明するように膨らんでいる。
部屋の隅には棚があり、床にまで物が散乱している。
赤と青、そして黒と白が入り乱れるそれらに目を奪われていると、もぞ、と鏡の中で布団が動いた。
んー、と寝返りを打つと、その人物の顔が俺からもはっきり見えるようになる。
ああ、見えた。
会えてないけど、鏡越しだけど、実際に見れた。
”加州清光”
じいちゃんから聞いてた通り、確かに可愛いのだろう。
よく部屋を見てみれば、赤いマニキュアが机の上にたくさんある。
と、いうことはもう１人は大和守安定かな？
どういう原理か知らないけどすごい！！！
憧れの対象を前にした俺の興奮は収まらず、結局3時になって鏡が元に戻るまでずっと食い入るようにみつめていた。
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灰雪(プロフ) - 壬卯兎さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とうらぶ小説一緒に増やしましょう！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月14日 20時) (
レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
壬卯兎 - 面白いです！なんかもう、書き方から何まで凄く参考になります…これからも頑張ってください！＆私もとうらぶ書いてるので一緒にがんばりましょう！更新楽しみにしています！ (2017年12月14日 8時) (レス) id: 1ea793e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 苺パフェさん» ありがとうございます！狭いジャンルなので初めて読むと言われると嬉しいです！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 22時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - 面白かったです！初めて読むタイプの作品でした。大変でしょうが、続きがめっちゃ気になるので、更新、頑張ってください！ (2017年12月12日 21時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 銀色ミカンさん» 応援ありがとうございます！更新頑張らせて頂きます！ (2017年12月12日 19時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
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