ごじゅうなな ページ32
篠の雪side
どうやら席順は自由らしい。
あんたの歓迎会だから、と言って俺に酒を飲ませて何処かへといった次郎太刀のおかげで俺は日付が変わる頃にどんちゃん騒ぎからの離脱していた。
短刀や青江を除く脇差はとっくに部屋に戻っていたが、その他は大分残っていた。
「ごめんね、わざわざ部屋までついてきてもらっちゃって」
「僕も部屋に戻るところだったしね。
それに君を1人で歩かせただなんて歌仙くんに知られたら僕たち全員怒られてしまうからね」
くつくつと喉の奥で押し殺すような笑い声が正面から聞こえる。
いくら昼と夜の差がない景色とはいえ雰囲気の差というのは感じ取れるもので、青江に夜闇の中手を引かれるのは少し恐ろしくもあった。
目元を冷やしている間に用意された目隠しをつけているため、見える景色はなにも変わらないが布がズレていると気になるもので、キュッ、と頭の後ろで結び直した。
「それじゃあ僕はもう戻るよ」
「ありがとう」
歯磨きとかは面倒だから明日でいいか、と思い、あらかじめ誰かが敷いてくれていた布団に座ったまま青江がいるはずの方向へ手を振る。
タン、と襖の閉まる音がして、1人分の足音が遠ざかっていくのを聞いていると、それを上書きするように、広間に置いてある時計が12時を告げる鐘を鳴らした。
ぼーん、ぼーん、と一定間隔で眠気を誘うのか妨げたいのか微妙な音量で鳴り続けるそれを聞いていると、つい最近まで慣れ親しんだ感覚が俺を苛んだ。
「ケホッ、、、ッあぅ！？」
ゲホゲホと咳き込む。
体の奥底から何かを吐き出すようなこの感じは確かに経験したことがある。
だけど、もうひとつ。
ズキリと目の奥が痛んだ。
「篠の雪さん！？
何かあった！？」
今度は騒々しく襖が開けられ、ついさっき別れの挨拶をした青江が飛び込んでくる。
彼は口元に当てていた俺の手を掴み、そのまま静止する。
なんだ、ばれた？ああ、何やってるんだ、見せちゃ、いや、でももう手遅れ、青江なら気付く
でも、隠さなきゃ
理由の分からない焦燥、作った結果を繕うための隠蔽工作。
全てが遅く、怠慢のしすぎだったが、何もしないなんてことは出来なかった。
「ッ、なに？
ずっと握られてるのも怖いんだけど」
青江の手を振り払い、何も知りませんとでも言いたげに首をかしげる。
これほど相手の顔を見たいと思ったのも久しぶりだった。
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灰雪(プロフ) - いーとさん» 返信遅くなり申し訳ありません！ただ今書き溜めているところなので今しばらくお待ちいただけると幸いです！ (2018年4月22日 16時) (
レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
いーと - 作者様の作品、とても大好きです。更新楽しみに待ってます！ (2018年4月18日 15時) (レス) id: c41ce6be94 (このIDを非表示/違反報告)
みたらし。(プロフ) - すごい面白かったです！笑笑戻って続きを書いていただけるのを楽しみにしてます！ (2017年10月11日 18時) (レス) id: de05c570c4 (このIDを非表示/違反報告)
無銘@しののんを推し隊(プロフ) - 退会……ですか。今まで合作をさせていただいたり作品を楽しく読ませていただいたりしていました。ありがとうございました！また会った時はよろしくお願いしますね！ (2017年9月25日 18時) (レス) id: 75d93086f0 (このIDを非表示/違反報告)
春霖(プロフ) - あくあっちさん» こちらの都合で退会することになってしまい申し訳ありません……。あくあっちさん、今まで色んな自作品にコメしてくれてありがとうございます。復帰した時にはまたよろしくお願いいたします！ (2017年9月23日 7時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
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