神嘘

嘘37 ページ44

鶴丸side









「鶴丸さーん！！」









石切丸と話し終わった雪羅が俺の方に向って走ってきて、手提げ袋に足を引っ掛けて転んだ。









「うわ……！」









「おいおい、大丈夫か？」









「うぅ……大丈夫です……」









足や腕に怪我をしていないか確認することもなく大丈夫だと言った雪羅は立ち上がり、俺の耳元に口を寄せた。









「鶴丸さん、約束です。
僕、探し物見つけましたよ！」









まふでナイショ話でもするかのようにそっと、だが楽しげに言った雪羅は俺から離れ、また別の奴の元へと走っていく。









「約束、か……」









ボソッと呟いた言葉は広間の雑音に掻き消され、消える。









辛うじて聞こえたのは隣にいた一期だけか。









「……鶴丸殿。
彼は約束をすれば守ってくれると思いますか？」









「さあな。
だが、あいつの言う探し物が何なのか知らないと何とも言えないな」









雪羅が五虎退に抱きつき、2人は笑いあう。









そんな光景があと４日で終わってしまうことに焦りを覚えつつ、広間に満ちる温かさを忘れないように静かに目を閉じた。

嘘38→←嘘36

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す