〜ヤスside〜 ページ32
「911番出なさい」
見た事ない無表情な顔の看守が、部屋へと訪れ冷ややかにそうボクに言うてきた
「いま、忙しいんやケド？」
六法全書をペラっとめくりながら、看守を見ずボクは目の前の文字を眺め返事をした
そんな態度が気にいらんかったんか、ボクが読んでいたもんをとりあげ「いいから出なさい」と彼はボクを見下ろし睨みつけてきた
ゆっくり彼の顔を見上げたまま立ち上がり、手をだした
「それ、A先生からの借りもんやから返して…」
彼は素直にボクの手の中に返し、外に出る様促した
ペラペラと全部それをめくってから、ベッドの端に静かにおいた。そして両手をあげて頭の後ろに手を組み、ボクは半笑いで彼に近づいて聞いた
「どうせ矯正監さんが呼んでるんやろう？」
チラリとボクを見るも、黙ったまま彼は部屋から出て歩きだした
そしてそんな彼の態度にボクもとくに気にする事なく、つづけて彼に向かい歩きながら喋った
「なぁ〜、それって俺に拒否権ないのぉ？」
すると彼は小さい声で、こっちに振り返ることなく一言「…黙りなさい」と口にした
彼の手の指先が微かに震えているのが見え、自然とボクの口角はあがった
「昨日も会うたばっかなんやケド？」
「私語を慎みなさい…」
指先の震えが強くなり、首筋に血管がうきあがってんのがみえた
「あははっ。あんがい上の人って暇なんやなぁ」
「…いいから…黙りなさい」
「言うた方がええよ？少しはっ」
ボクが笑いながら喋っていると急に彼は振り返り、胸ぐらを掴みボクを持ち上げた
「…近頃の看守さんは…教育がなってへんなぁ…こんなん…してええと思うてんの？」
彼の手首掴み、目をジーっと見つめた
「そういう目…ボク…嫌いやないわ」
にっこりボクが笑うと、少しハっとしながらゆっくりボクを地面におろした
ボクの洋服にある彼の手に力をいれて引き離した
自分の顔の目の前には、ボクの洋服からはずれた拳がある
彼の手首を掴んだまま、ボクは笑うのをやめ睨みつけた
「でもなぁ…A先生の借りもん触ったんは…気にいらへんかったわ」
そして、そのまま彼の拳にめがけて自分の顔面を強打させた
彼はもの凄い形相をしてボクを見た
「殴りたかったんやろう…」
革靴の音が、ゆっくり静かな廊下に鳴り響きはじめた
「けど…あんたクビやな…」
ボク等の前で足音はなりやみ、ボクを呼び出した人物が立っていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 780人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こじゅMAMA(プロフ) - 瀬取ぐりこさん» なかなか更新せずにですみません。お返事も遅くなりました。ゆっくりと読んでいただけたら嬉しいです！ (2020年1月18日 20時) (
レス) id: a147df293a (このIDを非表示/違反報告)
瀬取ぐりこ(プロフ) - お話の構成が天才すぎて、一気に読んじゃいました！ ２に行ってきます！ (2019年10月13日 15時) (レス) id: bdea2fdbd0 (このIDを非表示/違反報告)
こじゅMAMA(プロフ) - トランスさん» コメントありがとうございます。黒安田私も大好きです。更新遅くなったりしますが、更新頑張っていきますのでよろしくお願いします。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: cfe8eab671 (このIDを非表示/違反報告)
トランス(プロフ) - 黒安田君好きです。カッコいいですよね。更新、楽しみにしてます。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: fad6927b23 (このIDを非表示/違反報告)
∞ぽむりん∞ - お気になさらないで下さい！検討有難うございます！期待しています♪ (2016年1月31日 17時) (レス) id: 6e7478b2bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こじゅMAMA
| 作成日時：2013年12月17日 14時
